中国と中南米からのあおりを受け、最悪のスタートを切った米国の株式相場だが、モルガン・スタンレーは立て続けに発表した2つのレポートを見る限り、意外なほど事態を楽観的しているようだ。モルガンのアナリストは「2020年まで米経済は成長を続ける」理由として、昨年は1999年以来2番目となる大きな伸びが雇用拡大率に見られたこと、消費者信頼感指数(CCI)が2004年以来最高の92.9というスコアを記録したことなどを挙げている。

強気のドルが原油を20ドルまで押し下げかねない


懸念されている米企業の赤字傾向については、2年以内に返済期限の迫っている上場企業500社(S&P500)の負債総額(2016年1000億ドル/11兆7770億円、2017年3000億ドル/35兆3310億円)が「許容範囲内」であり、1500社の総資産額が1兆ドル(約117兆7700億円)に達している事実から、バブルの可能性を否定。「大企業は事業成長に全力を注ぐ力を備えている」と太鼓判を押している。

シナリオ通りに事が運んだ場合、S&P指数は2020年までに現在の500から3000に上昇を見せるとモルガンは見込んでいるが、「米経済の見通しの明るさ」は、ドルに強く影響されやすい原油価格のさらなる暴落を招きかねない。

「ドルが5%値上がりすれば原油価格は10%から25%値下がりし、最終的には1バレル20ドルまで下落の可能性がある」というモルガンの予想が現実のものとなれば、既に深刻な財政難に喘いでいるサウジアラビアにとって致命傷となるだろう。

一方、ドルの独走を案じるシティグループなどのウォールストリートは、こうした国際市場のアンバランスさに強い懸念を示している。(ZUU online 編集部)

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