好きなものが行き着く先がカリフォルニア
◆現在は枻出版社の建築部門に籍を置く社員という立ち位置です。今の会社とはどこで接点があったんですか?
枻出版社とは『湘南スタイル』という雑誌の取材で知り合いました。その後飲食店の設計を頼まれたり、役員と仲が良くなっていくうちに、会社に入って色々やらないかと。
◆出版社が飲食店や住宅をやるのは、かなり珍しいですね。
枻出版社はライフスタイルの企画会社なんです。だから趣味や暮らしの本を出版するだけじゃなくて、イベントをやったり、飲食店や住宅を作ったりする。それを現実化する部隊が僕ら。
◆仕事としては、メーンは設計になるんですか?
そうです。なんで工務店と名乗っているかというと、一般のお客さんには、「設計事務所」や「アーキテクト」って分かりにくいから。工務店だとなんとなく家を作ってくれそうと思ってくれる、という狙いです。
◆出版社だからネーミングがうまいですね。現在スタッフは何人ですか?
設計をする人間が7人。仕事としては、住宅の設計が8割で、関東がほとんどです。同時進行で動いているプロジェクトは、50件くらいになります。リフォームは戸建てもマンションもやっていて、価格としては1500万円~3000万円。
◆改めてコンセプトについてお聞きしたいんですが、なぜ「カリフォルニア」なんですか?
まず自分たちが格好いいと思えるものを作る、というのが根底にあります。そこでなんでカリフォルニアかというと、僕がガキの頃から影響を受けたもの、好きだったもの、行き着く先は全部カリフォルニアだった。サーフィンもスノーボードもカリフォルニアの文化の1つなんですけど、そこの人って、みんなこういう遊びを真剣にやるんですよ。
それによって新しいカルチャー、ムーブメントが生まれる。馬鹿じゃないかと言われることを真剣にやるスピリットは、すげえ格好いい。住宅業界に風穴を開けたいとまでは言えないけど、これを住宅でやりたかった。
◆ターゲットを絞ることに、不安はなかったんですか?
ワクワクだけ。カリフォルニアとか最高じゃないですか。
他社との連携増やし全国のニーズ満たす
◆最後に今後の構想を教えてください。
B to Bを増やしていくこと。うちが提案する家に住みたいというニーズは全国にありますが、僕らは支店を増やしていっぱい受注を取っていこうとは思ってません。他の会社とコラボして、いかに自分たちが動かずにその需要を満たすことができるかと考えています。
住宅FCに、うちの住宅デザインを商品として提供しているのもその1つです。セミナーで全国の工務店に触れ合う機会があるんですが、「カリフォルニア工務店のパンフレットを持ってきたお客さんから、こういうのを作ってくれと言われて困っている」という声も聞きます。
そういう時に住宅FCで商品使ってもらって、工務店さんもお客さんもWin-Winになる。こういうことをもっと強化していこうと思っています。
カリフォルニア工務店 岩切剣一郎氏
《プロフィール》
1972年、宮崎県生まれ。一級建築士。工業高校卒業後、上京して専門学校に入学。その後ゼネコン、設計会社などを経て、2009年に枻出版社に入社。12年に同社の建築デザイン事業部「カリフォルニア工務店」を立ち上げる。以後ユーザー、プロ問わず全国にファンを持つ。(提供:
リフォーム産業新聞
11月17日掲載)
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