以下の設定のAさんが資産運用を始めようとした。どのような投資手法を取るのが望ましいだろうか。

日本の普通預金の金利は低すぎる。メガバンクでは0.02%。比較的金利の高いネットバンクでも0.04%程度。100万円預けたってメガバンクなら年間200円。ネットバンクでも400円だ。資金を複数の銀行に分散するのはあまり効果的ではない。

今すぐに株式投資をやらないとしても、将来の資産運用を考えて、証券会社に口座を作ってみたらどうだろう?証券会社には、株式投資のようなリスクの高い金融商品だけでなく、ローリスクで金利が高く普通預金のように使えるMRF、MMFといった商品があるので紹介しよう。

証券総合口座とMRF

まずは、証券総合口座とMRFについて理解しよう。証券会社に口座を開設すると、総合証券口座という、入出金から資産運用まで個人の資産を一元管理する機能を備えた口座を持つことになる。

銀行の総合口座の証券版であり、銀行の普通預金の代わりとして口座の決済の中心となるのがマネー・リザーブ・ファンド(MRF)だ。証券総合口座は、銀行口座と同じように、ATMで入出金が簡単に出来、クレジットカードを作ることも出来るため使い勝手は悪くない。

MRFは、公社債、コマーシャル・ペーパー(CP)、譲渡性預金(CD)といった極めて安全性の高い債券を中心に運用しており。いままで元本割れしたことはない。

投資信託に預金口座の機能をもたせるために、毎日分配型という特殊な形式にしている。申し込み手数料や解約手数料は一切無料で、いつでも入出金可能だ。

しかも金利は銀行の普通預金よりも高金利だ。証券口座に入金さえすれば、自動的にMRFに投資されるので手間をかけることはまったくない。まさに普通預金と同じような感覚で少しでも高い金利を受け取ることが出来る。

また、株式や債券、投資信託などを買い付けた際は自動的にMRFを解約して充当される、売り付けの際は預り金や売却代金、分配金、利金などが自動的にMRFに再投資されるため運用に全く無駄がない。

MRFの利回りは、2016年1月15日現在で、MRF運用会社平均で0.024%となっている。金利は、運用会社によっても違い、日々見直しするため一律ではないが、普通預金のように使えて、概して普通預金金利を上回っている。

MMFはさらに金利が高い

買い付けの申し込みといった手続きが必要だが、さらに金利が高くて銀行口座的に使えるのがマネー・マネジメント・ファンド(MMF)だ。安全性の高い債券を中心に投資信託として運用している。

MRFは証券会社に入金すれば自動的に適用されるのに対し、MMFは申し込みが必要だ。しかし、証券総合口座さえ持っていれば申し込みはいたって簡単。

MRFとの大きな違いは、30日未満に解約すると0.1%の手数料がかかってしまうことだけだが、30日以上になると一切の手数料は無料となり銀行口座と同じように使える。MRFが普通預金なら、MMFは簡単な定期預金的な位置づけになる。

MMFの金利は、2016年1月15日現在運用会社平均で0.0365%だ。金利は運用会社によっても違い日々見直しするため一律ではないが、普通預金やMRFより通常高い。

MMFやMRFのメリットとデメリット

今一度、MRFやMMFのメリットとデメリットを確認しておこう。

なんと言っても手間がかからないのに金利が高いことが1番の魅力。急ぎの資金需要が出た場合の流動性も問題がない。株を買うタイミングを待っている時や、リスクをとらずに銀行の普通預金よりも少しでもいい金利が欲しい時に使うのに優れている。

証券口座に、年間のNISAの許容額120万円を入れておいて、普通預金よりは高金利をもらいながら、株が大きく下げたときなどにNISA口座で買い出動する、といった使い方が有効だろう。

一般的な定期預金などと違い、最低投資単位がなく一口1円から運用可能で、少額から始められるということもメリットだ。将来の資産運用の第一歩として入りやすい。

デメリットは、投資信託であるため元本保証でないこと。MRFやMMFは、安全性の高い商品で運用されているため、実質元本保証とも言われているが、投資先が破綻すれば元本の保証はないことだけは理解しておこう。

ただ運用会社や証券会社が破綻したとしても、分別管理しているため投資資金は保護される。

また、今回は詳しくは紹介しないが、外貨建てのMMFという投資信託も存在する。為替リスクがあるが、さらに魅力的な金利がついている。

MMFやMRFを扱っているネット証券会社

代表的なMMFには野村アセットマネジメントの運用する野村MMF、みずほ投信投資顧問のMHAM MMFなどがある。MMFは投信なので系列証券だけで取り扱いされているわけではない。

たとえば、ネット証券に口座を開けると、数社のMMFを購入可能だ。たとえばネット証券トップのSBI証券で現在取り扱い可能なMMFはMHAMのMMF、野村MMF、ダイワMMFがある。

証券口座は、株や債券を売買したり、投信を売買したりしなくても、比較的高い金利がつくので、敷居を高いと感じずにまず口座を開設して将来いつでも運用が出来る準備をしておいてもいいのではないだろうか。

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