(写真=Thinkstock/Getty Images)
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新興国経済の減速懸念、世界的な株価の下落など経済環境の先行きに暗雲が垂れ込める中、3月中旬ごろの集中回答日を目指して2016年春闘が本格化してきており、その帰趨が注目されている。

今年の焦点は「3年連続のベースアップ(ベア)実現」という労働者にとって嬉しい結果がもたらされるかどうか、そして賃上げがデフレからの脱却と、経済の好循環の実現に向けて、弾みをつける契機となるか否かだろう。

3年連続の「官製春闘」に臨む経済界

振り返れば、2015年は2年連続となる2%台の賃上げが実現した。中国の昇給率8%、インドの同10%といったアジア新興国の賃上見込み率とは比べるべくもないが、日本としては17年ぶりの高水準だった、うちベースアップも0.5%と、2000年以降で最大だった。

一方で、アベノミクスの効果もあったのか企業収益の改善、労働需給の引き締まりというファンダメンタルズの改善に加え、政権からの賃上げ要請が一定の役割を果たしたことも否定はできない。政府はさらに、昨年の11月に、法人税率の引き下げ方針と引き換えの形で経営側に賃上げを要請するなど、「官製春闘」とも受け止め得る形だ。

加えて、物価上昇率2%を目標に据えて、脱デフレの旗手の役割を果たしてきた黒田東彦日銀総裁も、目標の達成に焦りを感じ始めたのか、賃上げ応援団に加わっている様子だ。

経団連の榊原定征会長は他方で、経営が好調な会員企業に対して今年を上回る賃上げを呼びかける考えを表明。傘下の企業に3年連続で賃上げを呼びかけた。

ただ、賃上げの中味については「ベースアップより年収ベースで」という方向転換の姿勢も示しており、経営への長期的な影響や、先行きの不透明な経済動向に対して、慎重いなっているともみられそうだ。

「継続的なベアと格差是正」を重視する労働側

一方、労働側の姿勢も今年はやや変化している。連合の16年春闘基本方針は「ベア2%程度(6000円水準)」となっており、昨年と比べれば「控えめな要求」の感を拭えない。

200万人の組織人員を抱える金属労協(JCM)は既にベアに相当する賃金改善要求を月額3000円以上にすると正式決定した。これは「6000円以上」を掲げた15年春の半分だ。傘下の自動車総連、電機連合、ものづくり産業労働組合(JAM)などもこれに見合った低めの要求水準を決定している。

弱気とも見える労働側の真の狙いは、継続的なベアと格差是正の重視だ。相原自動車総連会長の発言を借りれば「デフレ脱却、経済好循環に向けた歯車を回すためには、ベアという確実な賃金引き上げが不可欠。また大企業のみならず中堅・中小、非正規労働者も含めた多くの労働者が賃金引き上げの傘に入ることが重要」ということだ。

企業収益の改善、労働需給の逼迫など、足もとを見る限り、賃上げへの基本条件にはフォローの風が吹き続けている。特に今春闘では人手不足対策という観点からの賃上げが中小企業に広がると見る向きも多い。

大規模、中小規模のそれぞれで、労使双方の思惑の違いも含め、賃上げ率、とりわけベアの実現率が昨年を上回るかどうか、その行方はかなり微妙なものとなりそうだ。(ZUU online 編集部)

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