世界の株式市場の動きを主導しているのは各国の年金や保険といった機関投資家やヘッジファンドの動向ですが、とりわけ外部からは実態が見えずらいSWF(政府系ファンド)という投資主体が存在します。

今回は、その資金量から影響力も大きいSWFの動向や各国毎の違いを紹介したいと思います。


【SWFとは?】

SWFは「ソブリン・ウェルス・ファンド」の頭文字を取った略称で、各国の政府が出資する政府系投資機関が運営するファンドの事をいいます。
その主な財源は、豊富な石油や天然ガスなどの資源による収入、貿易黒字等による外貨準備高などの国家資産であり、その運用姿勢は各国によってそれぞれですが、株式や不動産などのリスク投資にも積極的で高い収益性を求めるところもあります。

またSWFの運用実態は、国家機密として取り扱われる事が多く情報開示があまり行われていません。
一方で運用規模が莫大な為、市場で大きな影響を及ぼす存在になっています。

・代表的な各国のSWF

ファンド名

国名

運用資産(億$)

設立年

政府年金基金

ノルウェー

6562

1990 年

アブダビ投資庁

UAE

6270

1976 年

中国国家外為管理局

中国

5679

1997 年

サウジアラビア通貨庁

サウジアラビア

5328

不明

中国投資有限責任公司

中国

4820

2007 年

クウェート投資庁

クウェート

2960

1953 年

香港金融管理局

香港

2933

1993 年

シンガポール政府投資公社

シンガポール

2475

1981 年

テマセク・ホールディングス

シンガポール

1575

1974 年

カナダ年金制度投資委員会

カナダ

1528

1997 年

ロシア連邦国民福祉基金

ロシア

1497

2008 年

※2012年9月時点でのソブリン・ウェルス・ファンド・インスティチュートのデータを基に作成

・投資スタイルスタイルは下記のように分類されます。

  1. ポートフォリオ型タイプ・・・一般にインデックス対比の相対リターンを目標としており、戦略アロケーションで株式の比重が高いことを除くと、欧米の年金など伝統的な機関投資家と類似した投資手法となっています。
  2. 長期絶対リターン追求タイプ・・・一般に絶対リターンを追い求めることを目標としており、伝統的なポートフォリオ投資以外の様々な投資戦略や投資手法にもオープンであり、思い切った戦略的・戦術的な資産配分を行う投資手法となっています。
  3. プライベートエクイティタイプ・・・一般に流動性の高い有価証券などへのポートフォリオ投資は行わず、多くは経営コントロールの取得などを前提とした企業への直接投資を行う投資手法となっています。この場合、自国の戦略産業の育成や発展と絡める場合も多いです。

このようなSWFですが、いくつかその動向が報じられているところを紹介します。