【ノルウェーにおけるSWF】・・日経ヴェリタスの記事より

北海油田の収入で得たマネーを運用する同基金は、世界最大規模のSWFであり、世界の株式の約1%を保有していると言われています。また徹底した情報開示により、ホームページ上に資産の規模を1桁単位までリアルタイムで開示し、資産の拡大とともに収益を厳しく追及する姿勢を強めています。同基金が存在感を示したのがギリシャ危機の時です。保有するギリシャ国債 が債務カットの対象になると削減に応じず、強制カットの対象になってしまいました。激怒した同基金は保有するPIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)の国債を半分以上も減らしました。その影響もあり、イタリアとスペインなどの国債の金利は高騰し、ユーロ危機が再発しました。これは日本ではあまり知られていない裏事情だそうです。


【中国とイスラム国におけるSWF】・・・東洋経済の記事より

まず中国のSWFについてご紹介します。債券での運用比率を低下させる為、資金を株式にシフトする方向であるようです。具体的には、長期投資を目標として、割安に放置されたイタリアの優良企業株などを買い進める方針です。

次にイスラム国のSWFについてご紹介します。最近の原油価格の上昇や産出量の増加に伴って、運用規模が拡大しています。しかも原油輸出相手国との相互利益を重視するため、米国と日本へ投資する比率が高く、原油が枯渇して場合のリスクに備えて子孫に富を残す事を投資の目的としている所が多いようです。

この2つの地域に共通していえる事は、運用規模が巨大な一方情報開示が乏しく、投資家や企業が警戒感を抱く一因となっています。


【日本の状況】

各国のSWFは資源による収入や外貨準備を原資とする所が多い一方、日本などの資源を持たない国がSWFを運用する場合、外貨準備や年金積立金を原資とする必要があります。しかし、運用リスクを国民が負担するという構図が成り立つので、日本の財務省は基本的に反対の立場をとっています。欧州では他国のSWFに翻弄されかねないとの脅威論から、自国産業を防御するためにSWFを設立した国もあるそうです。今後世界第2位の外貨準備を持つ日本でも、国家戦略の観点からもSWFの導入の要否の議論が高まる可能性があります。

BY K.S