新入社員のときに教わるような型どおりのマナーも大切だが、30代、40代と年齢を重ね、職位も上がってくれば、状況に応じた臨機応変な対応で相手の心をつかむ「ワンランク上のマナー」を身につけたいもの。戦略的イメージコンサルタントの西松眞子氏に、その例を教えていただいた。
「自分のため」のマナーから「相手のため」のマナーへ
若い頃は、「恥をかかないように」「自分が良く見えるように」と、「自分のため」にマナーを身につけるものだと思います。多くの人がそうでしょう。でも、年齢を重ねてくれば、視野を広げて、相手や周囲への気配りとしてのマナーを身につけたいもの。その姿勢が、「器の大きさ」という人間的魅力を高めます。
周囲への気配りができるようになったからといって、すぐに仕事の成果に直結するわけではないかもしれません。マナーというのは、ホームランではなく、ヒットやバントのような地道なものです。いつも心がけて繰り返すことで、周囲に良い印象を持ってもらえる人へとなっていくのです。
意識していないと、年齢を重ねるにつれて、人の意識や行動は凝り固まっていきます。不思議と、「自分は大丈夫」と思っている人ほど、凝り固まっているものです。
とくに、これから立場が高くなっていく人は、自分の言葉遣いや仕草から、意識して見直してみてください。
ハンカチは2枚持つ
「ハンカチを持つ」というのは誰でもしているマナーでしょう。けれども、2枚持っている人は少ないのではないでしょうか。
私がお会いしてきた気配りができる人たちは、ハンカチを2枚持っていました。1枚は自分が使うためですが、もう1枚は、いつかどこかで誰かが飲み物をこぼして服を濡らしたようなときに、サッと差し出すために持っているのです。
実際にそうした場面に出会うことは、そう多くはないでしょう。それでも、そうした場面に備えておく習慣を持つことが大切。異業種交流会で隣り合わせた人がたまたまお酒をこぼし、用意してあった2枚目のハンカチを差し出したことをきっかけに仕事の取引が始まったという住宅メーカー勤務の方もいました。