1月29日に発表された日本銀行のマイナス金利導入は、円安と株高を進めた一方で欧米の株式相場を大幅に活性化させた。今回の日銀の予想外の決定に、欧米市場は驚きを隠せないと同時に高揚した空気に包まれているが、一部の専門家は“副作用”への懸念を示している。

欧米市場は大喝采で取引終了

物価目標(2%)の早期達成を目指し「金利全体により強い下押し圧力を加える」という大胆な発想から、日銀が日本初のマイナス金利に踏み切ったことで、世界中の相場が大荒れ。

リスク回避で円売り傾向に火がついたのはもちろんのこと、対ドルばかりか対ユーロも急落。新発10年物国際利回りが過去最低基準の0.09%まで急落するなど、日銀のシナリオ通りの展開を見せた。

対する欧米の株式相場は大幅に上昇。前日の好調な決済報告がプラスに働いたMicrosoftの値上がりや米追加利上げの延期なども追い風となり、S&P500種指数SPXは46.88%高(1940.24)、ダウ工業株30種平均DJIは396.66ポイント高(1万6466.30)、ナスダック総合指数IXICは107.28ポイント高(4613.96)と軒並み高騰を見せたほか、FTSEユーロファースト300指数も2.7%プラスの1346.08で取引きを終了した。

専門家は通貨安競争への発展を懸念

昨年12月に米利上げが実施されたものの、思惑通りの回復を見せていなかった欧米相場にとって、今回の日銀の決定は思いがけない活性剤として受け入れられている。

英投資情報会社、マニュライフ・アセット・マネージメントのアナリスト、ウィル・ハムリン氏は、マイナス金利の導入はあり得ない——と繰り返し否定していた日銀の動きがさらなる紙幣の発行を意味することから、「欧州の投資家達の目を高リスクな投資に向けさせたことになる」とコメント。

英アドバイザリー会社オックスフォード・エコノミックスは、過去にマイナス金利を導入した欧州中央銀行やデンマークなどの例を挙げ、「世界経済に及ぼす影響ははかりしれないが、日本経済自体は動きの少ない時期に入る」と予想。

一部の専門家からは「物価上昇を盾にした円高回避策」と、通貨安競争や中国への影響などを指摘する声もあがっており、欧米市場が手放しで万歳三唱するにはまだ時期尚早といったところだろう。(ZUU online 編集部)

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