米大統領選挙,ヒラリー氏
(写真=Getty Images)

2月1日のアイオワ州を皮切りに、11月8日の投票日に向けて米大統領選が本格的にスタートする。選挙戦を独走していたヒラリー・クリントン前国務長官の勢いに急ブレーキがかかるなか、共和党・民主党ともに非主流派の躍進が注目を集めている。今回は最新の選挙情勢と今後の展望とともに、FRB(米連邦準備理事会)への影響についても整理する。

クリントン候補を猛追するサンダース候補

民主党の指名争いは、ヒラリー・クリントン前国務長官とサンダース上院議員(バーモント州)の一騎打ちとなっている。党内での「対抗馬なし」が最大の弱点とされてきたクリントン候補だったが、党員集会・予備選挙のスタートを目前にしてサンダース候補の猛追を許している。年初の支持率ではクリントン候補の55%に対しサンダース候補は31%と24ポイントの大差をつけていたが、1月中旬にはその差が8ポイントにまで接近した。今回同様、「敵なし」とされた2008年の選挙戦でも、年初はクリントン候補の45%に対しオバマ候補は24%と20ポイント以上の差があった。

1月27日現在、アイオワ州でのサンダース候補の支持率は46.0%とクリントン候補の45.8%をわずかに上回っている。2月9日に予備選を控えるニューハンプシャー州ではサンダース候補の勝利が確実視されており、クリントン候補が緒戦を落とすようだと、事前予想を覆す混戦へともつれ込むことになりそうだ。

共和党の主流派、巻き返しのためにも重要な序盤

共和党の指名争いは、不動産王のドナルド・トランプ氏、テッド・クルーズ上院議員(テキサス州)、マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)の三つ巴となるもようだ。1月下旬の支持率をみると、トランプ候補が35%、クルーズ候補が20%、ルビオ候補が10%となっている。

三人の立ち位置はかなり明確に異なっている。トランプ氏は、移民に対する過激な発言などから「極右」とのレッテルを貼られているものの、民主党に多額の寄付をしていたこともあり、考え方はむしろリベラルとされている。クルーズ候補は党内では非主流派となる右派、いわゆるティーパーティに支援されている。そして、穏健派で共和党の保守主流を担っているのがルビオ候補という位置づけだ。

予備選が集中するスーパーチューズデイ(3月1日)を含む3月上旬までは、代議員の分配は比例分配が圧倒的に多いことから、必ずしも1位になる必要はなく、差が小さければ2位以下でも望みをつなぐことができる。3月中旬以降になると、総取りが増えてくるのでこれらの州では僅差であってもトップとなることが重要となる。序盤から中盤にかけては保守的な州での投票が多く、中盤から終盤にかけはリベラルな州での投票が増える。序盤はトランプ候補、クルーズ候補がリードすることが見込まれるなか、ルビオ候補がどこまで踏みとどまれるのかが注目される。

「勝てる」候補かどうか

本選で対戦した場合のシミュレーションでは、トランプ候補は民主党の両候補に対して劣勢となっており、最も勝ち目のない候補となっている。クルーズ候補はクリントン候補には優勢、サンダース候補に対しては劣勢、ルビオ候補は両候補に対して優勢となっており、勝ち目でみるとルビオ候補に利がある。

民主党側からみると、クリントン候補が優勢なのはトランプ候補だけであり、苦しい立場にある。これにはクリントン候補がオバマ政権の「3期目」とみなされていることが影響している。オバマ政権への支持率は46.8%と低く、不支持が48.7%と支持を上回っている。また、米国が「良い方向」に進んでいるとの回答が30%なのに対し、「間違った」方向との回答が63%に達しており、現政権への風あたりは強い。

「社会主義者」を自称するサンダース候補は、右派候補に対してクリントン候補よりもより優勢となっており、トランプ候補もしくはクルーズ候補の優勢が伝えられた場合には、「勝てる」候補として同候補を推す声が広まる可能性がある。

クリントン候補以外が勝利ならFRBへの監督強化、議長の再任なし

中央銀行の独立性は金融安定には欠かせない要素とされているが、今回の結果次第ではFRBの独立性が大きく揺らぐ可能性がるある。

共和党では、クルーズ候補が「FRBはウォール街のために働いている」と指摘、FRBへの監督強化の動きを強めている。また、ルビオ候補は「(大統領になったら)イエレン氏の再選は認めない」としている。民主党でもサンダース候補は「FRBは銀行に乗っ取られている」とし、FRBを議会の監督下に置くべきだとしていることから、クリントン候補以外が大統領になった場合には、FRBへの監督が強化され、イエレン議長は再任されないとみられている。

また、トランプ候補は「FRBが利上げをしないのはバブルを崩壊させないように政権から要請されているからだ」と発言し、政治的な独立性にも疑問を投げかけている。大統領選が本格化する前に利上げを実施しないことには、FRBへの批判がエスカレートする可能性があったことを踏まえると、12月の利上げに影響を与えた可能性もありそうだ。

FRBは昨年12月、米経済が失速するなかで異例ともいえる利上げに踏み切っている。今回の利上げで「ウォール街のために株価を押し上げている」との批判はかわせること、FRBにとってはクリントン候補が最も望ましいことを考え合わせると、大統領選が終わるまでは利上げを見送るのが得策となり、次の利上げは早くても12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)という見方もできそうだ。(ZUU online 編集部)

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