保険金等の支払金の推移

保険金等の支払金の種類には、保険金、年金、給付金、解約返戻金、その他返戻金がある。まず下のグラフで、全体の規模と構成割合を示した。そのあと、それぞれの特徴をみてみる。

日本の生命保険業績動向3

◆保険金

日本の生命保険業績動向4

日本の生命保険業績動向5

保険金支払いの動きは、かんぽ生命の影響が大きいので、上の保険金のグラフでは、別にしている。保険金には満期保険金と死亡保険金があり、収支に与える影響も動向も異なるので、注意が必要だ。

死亡保険金の支払の推移は、日本国内の死亡率がそれほど激しく変動するとは考えられない状況なので、保有契約高の推移に似ている。保有契約高と死亡契約高(=死亡保険金、とみていいだろう。)から計算される金額ベースの死亡率は上のグラフのようになる。

一般には日本の平均寿命は年々延びている、すなわち死亡率は低下しているはずなのだが、保険会社の実績としては死亡率は上昇している。おそらく、保有契約の平均年齢が高齢化していることの反映であろう。死亡保険金は、例えば大地震や大きな飛行機事故などで被害者が突然増加すると、ほぼそのまま保険会社の損失になる、という性質がある。

その一方、満期保険金は、例えば一時払養老の満期保険金の支払であるが、1980年代の一時期、猛烈な勢いで販売されたのだが、5年後とか10年後とかに支払うことがわかっているし(1991年と1998年のピーク前後が一時払養老の満期が多かったのだろう。)、保険料(の一部)を準備金として積み立ててあるので、いくら突然支払いが増えても収支に直接は影響しない。ここが死亡保険金とは異なる。

また、銀行や証券会社も含めた金融商品の中でも利回りが優れているなどと世に知れると、販売量(従ってその何年か後の満期保険金支払い)も大きく増減するという点でも、死亡保険金とは性質が異なる。