高級腕時計のロレックスは、ほとんどのモデルが機械式・自動巻きのムーブメントです。精密な駆動方式なので、資産価値を維持するには「メンテナンスが必要なのでは?」と不安を感じている人も多いでしょう。
本記事では、ロレックスのオーバーホールの必要性や、修理にかかる費用・期間をまとめました。資産価値を落とさず長く愛用するために、オーバーホールの基礎知識を学んでいきましょう。
目次
オーバーホールとは
オーバーホールとは、時計などの機械を新品に近い状態に保つためのメンテナンスのことです。依頼先によって工程は変わりますが、基本的にはすべてのパーツを分解し、一つひとつの部品をチェック・洗浄してから組み立て直します。
○オーバーホールに含まれる工程
・内外装の分解作業
・パーツチェック
・洗浄
・注油
・修正や調整
・防水検査
・組み立て
・精度の実測 など
日常的なメンテナンスとは違い、オーバーホールでは時計内部の手入れも行うため、細かい不具合やトラブルまで対応してもらえます。
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ロレックスにオーバーホールは必要?
ロレックスでもオーバーホールは必要です。ロレックスは耐久性の高いモデルが多いため、「動いているから大丈夫」と10年以上オーバーホールをしない人が多く見られます。しかし、いくら精密な時計であっても、摩擦やサビによるダメージは避けられません。
時計などの機械は使い続けるほどダメージが蓄積するので、定期的にオーバーホールをしないと修理のために交換するパーツが増えてしまいます。資産価値を下げないためにも、「なぜオーバーホールが必要なのか?」という点はきちんと理解しておきましょう。
機械式時計は部品や油が劣化する
ロレックスのような機械式時計には、摩擦を防ぐための潤滑油が使用されています。この油は時間が経つと粘度が下がるため、定期的に注油をしないと摩擦によるダメージが蓄積してしまいます。
また、金属製の部品は、酸化によるサビも劣化原因になります。摩擦やサビを放置すると、部品同士が傷つけあって不具合が生じるので、定期的なオーバーホールは欠かせません。
パッキンの劣化で湿気や塵が入り込むことも
ロレックスの蓋などに使用されるパッキンも経年劣化する部品なので、パッキンが破損すると、その部分から湿気や塵が入り込んで故障の原因になります。
そのため、オーバーホールでは劣化した部品の交換だけではなく、各パーツや時計内部の洗浄も行われます。
オーバーホールをするだけで寿命が数年延びる
ロレックスに限らず、機械式時計はオーバーホールをするだけで寿命が飛躍的に伸びます。資産価値を保てるだけではなく、身に着けるアイテムとしても長持ちするため、不具合がなくてもオーバーホールするのが基本です。
いくらロレックスでも、修理が難しくなると資産価値が下がってしまうので注意しましょう。
ロレックスのオーバーホールの費用は? モデル別の料金表
ロレックスの正規店にオーバーホールを依頼する場合、費用の目安は6万円〜11万円といわれています(※基本料金のみ)。有名なモデル別にオーバーホールの費用をまとめると、以下のとおりです。
ロレックスのモデル名 | オーバーホール費用の目安(正規店) |
---|---|
エクスプローラー | 7万5,000~12万円 |
サブマリーナー | 7万5,000~12万円 |
GMTマスター | 7万5,000~12万円 |
デイトナ | 8万5,000~13万円 |
デイトジャスト | 7万~9万5,000円 |
ヨットマスター | 7万5,000~12万円 |
上記はあくまで基本料金であり、パーツ交換が必要になった場合はさらに費用がかかります。費用を少しでも抑えるためにも、オーバーホールは定期的に行うようにしましょう。
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ロレックスのオーバーホールにかかる期間や頻度
ロレックスは精密な構造をした時計なので、依頼をしたその日にオーバーホールが終わるわけではありません。また、オーバーホールの間隔が空き過ぎると、故障するリスクが高まってしまいます。
ここではロレックスのオーバーホールにかかる期間や頻度をまとめたので、基礎知識として押さえておきましょう。
オーバーホールには通常1〜2ヶ月間かかる
通常、ロレックスのオーバーホールは1~2週間ほどかかります。ただし、これはスムーズに作業が進んだケースであり、新たな部品を取り寄せる必要がある場合は、受け取りまで1ヵ月以上かかることもあります。
当然ですが、オーバーホールの最中には着用したり飾ったりすることはできません。使用する予定がある人は、スケジュールの調整を忘れないようにしましょう。
購入から3~5年がメンテナンスのタイミング
オーバーホールの頻度については、購入から3~5年が目安になります。電池を使用するクォーツ式のモデルでも、4年に1回はオーバーホールを依頼しましょう。
なお、使用環境によっては劣化が進みやすくなるので、ロレックスの状態はこまめに確認することが大切です。上記の目安に満たなくても、不具合やトラブルが発生したらすぐにオーバーホールを検討してください。
オーバーホールを検討するトラブルの例
機械式時計にはさまざまなトラブルがあり、状態や程度によってオーバーホールの必要性は変わります。どのような場合にオーバーホールを検討すべきなのか、ここからは注意したいトラブルの例を紹介します。
時間・日にちがズレている
機械式時計の誤差は、日差(※)で「-10秒~+20秒」が許容範囲と言われます。これより大きな誤差が生じた場合は、駆動部や部品にトラブルを抱えている可能性があるので、早めにオーバーホールを検討しましょう。
(※)1日の遅れ具合または進み具合のこと。
なお、年代物のアンティーク時計の場合は、日差で「-30秒~+60秒」が許容範囲とされることもあります。
針の位置がズレ始めた
長針と短針がうまく重ならなかったり、針と文字盤がズレ始めたりしたら、時計内部にトラブルを抱えている恐れがあります。主な原因は、取り付け部分の緩みやパーツの劣化などが考えられますが、専門家でない限りは的確な判断ができません。
原因を突き止めても自力で直すことは難しいので、針の位置がズレたら専門家に頼りましょう。
内部から異音がする
時計の内部から「カタカタ」や「シューシュー」などの異音がするのは、内部にトラブルを抱えている合図です。潤滑油の粘度が下がっていたり、パーツを破損していたりする恐れがあるので、早めにオーバーホールを依頼しましょう。
ゼンマイの巻き上げ音がもともと大きいモデルもありますが、不安ならばオーバーホールに出して確認した方が確実です。
使用中にガラス内側が曇った
機械式時計の内部は真空ではないため、気温差などによってガラスが曇ることは珍しくありません。ただし、その曇りが長く続いた場合は、湿気や水が侵入している恐れがあります。
パッキンが破損している可能性もあるので、ガラス内側の曇りが気になったらオーバーホールを考えましょう。
ゼンマイの巻き上げ、時刻合わせの操作が重たくなった
機械式時計は、油切れを起こすと時刻を合わせるためのリューズが重くなります。無理にゼンマイを巻き上げると故障につながるので、このトラブルが生じたら注油のメンテナンスを依頼しましょう。
乾燥や凝固による油切れは、潤滑油が蒸発しやすい夏場や腕時計を屋外で使用する頻度の高い場合によく見られるトラブルです。
正規修理と修理専門業者はどちらが良いのか
ロレックスのオーバーホールは、正規店または修理専門業者に依頼できます。それぞれにメリットとデメリットがあるので、時計の状態やシーンに合わせて依頼先を選びましょう。
主なメリット | 主なデメリット | |
---|---|---|
正規店 | ・正規メーカーならではの安心感がある ・新品に近いクオリティで修理してもらえる
|
・アンティーク品は修理対象外の場合がある |
修理専門業者 | ・価値を理解した職人が、望ましい方法でメンテナンスをしてくれる ・交換パーツを純正品またはジェネリック品から選べる
・パーツの選び方次第で費用を抑えられる
|
・純正パーツによる修理ができないこともある |
現行モデルのオーバーホールや純正パーツでの修理にこだわりたい人には、正規店が向いています。ただし、正規店は完全修復を目指しているため、価値が高いアンティークな部品を新品と交換されてしまう恐れがあります。
そのため、アンティーク品ならではの魅力を保ったまま修理したい人は、専門業者への依頼を考えましょう。なお、業者によって知識やスキルが異なるので、オーバーホールの経験豊富な依頼先を探すことが大切です。
■参考動画
オーバーホールを怠るとどうなるか
ロレックスのオーバーホールを怠ると、以下のように深刻なトラブルにつながります。
○オーバーホールの不足によるトラブル例
・潤滑油の劣化や蒸発によって、内部パーツが摩擦によるダメージを受ける
・摩擦によってパーツが折れてしまう
・ゴムパッキンが劣化して防水不良が起こる
・時計内部に湿気や塵が侵入し、サビや精度不良が発生する
オーバーホール時に交換パーツが増えると修理費用がかさむため、トラブルを抱えてからの依頼はおすすめできません。大切な時計を修復できなくなるリスクもあるので、トラブルが生じる前にオーバーホールを依頼しましょう。
使う機会が少ないロレックスも定期的にオーバーホールしよう
ロレックスのような高級腕時計は、資産価値が高いアイテムです。特に人気モデルや希少モデルは高く売却できる可能性があるので、着用する機会が少ないロレックスについても、定期的なオーバーホールを心がけましょう。
機械式時計の不具合は見つけづらい傾向にあり、トラブルが発生した段階ではかなり劣化が進んでしまっていることもあります。修理費用を抑えるためにも、3~5年間隔でのオーバーホールを考えましょう。
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