中国株式市場でIPO(新規株式公開)が増加中だ。上海では科創板のハイテク企業、香港ではニューエコノミー企業の重複(セカンダリー)上場が中心。年末にかけてこの勢いはさらに加速しそうだ。

IPO
(画像=PIXTA)

中国市場に集まるIPOマネー

香港市場では今年6月に京東集団(JDドットコム、09618)網易(ネットイース、09999)、9月には百勝中国(ヤム・チャイナ、09987)華住集団(01179)など米国既上場株の重複上場が相次いでいる。米中対立を背景に米国に次ぐ第2の上場先として香港を選ぶ企業が増えており、今後もこの流れが継続しそうだ。まだ報道ベースだが、動画サイト大手のビリビリ(BILI)、旅行予約の携程旅行網(トリップドットコム、TCOM)、検索大手の百度(BIDU)などが上場予備軍として控えている。

銘柄表

京東集団系の京東健康(JDヘルス)テンセント(00700)系の微医(ウィードクター)などのスピンオフ上場も注目されそうだ。AIスタートアップの商湯科技(センスタイム)、日本風雑貨店の名創優品(MINISO)などの名前も挙がる。最大の注目はアリババ系フィンテックのアント・グループだろう。10月にも上海・香港に重複上場し、調達額は計300億米ドルに上るとされる。市場の商いがさらに活性化し、香港取引所(00388)の好材料にもなりそうだ。

主な市場における今年1~8月のIPO調達額を比べると、上海が356億米ドルで首位に立つ。2018年と19年で世界トップの香港は190億米ドルで第3位だ。調達額の“米中対決”では、中国(上海+深セン+香港)が630億米ドルで、米国(NYSE+ナスダック)の347億米ドルを大きく上回った。IPOマネーが中国に集中していることが分かる。

WFEデータより東洋証券作成
(画像=WFEデータより東洋証券作成)

IPO銘柄は値動きが荒い傾向にあるため慎重に見て行きたい。ただ、前述の京東集団と網易を見ると、上場後1~2カ月ほどはハンセン指数とほぼ連動した動きだった。その後、ニューエコノミー株全体が注目されたこともあり、指数を大きくアウトパフォームした。IPO当初は忍耐強く買い進め、じっくりと値上がりを待つという投資姿勢も重要だろう。

奥山要一郎(おくやま・よういちろう)
東洋証券 上海駐在員事務所 所長
2007年入社。本社シニアストラテジスト等を経て、2015年より現職。
中国現地で株式動向のウォッチや上場企業取材などを行い、中国株情報の発信・レポート執筆を手がける。

外国証券等について
・外国証券等は、日本国内の取引所に上場されている銘柄や日本国内で募集または売出しがあった銘柄等の場合を除き、日本国の金融商品取引法に基づく企業内容等の開示が行われておりません。

手数料等およびリスクについて
外国株式等の手数料等およびリスクについて
・委託取引については、売買金額(現地における約定代金に現地委託手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対して 最大0.8800%(税込み)の国内取次ぎ手数料をいただきます。外国の金融商品市場等における現地手数料や税金等は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
・国内店頭取引については、お客さまに提示する売り・買い店頭取引価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基準に合理的かつ適正な方法で基準価格を算出し、基準価格と売り・買い店頭取引価格との差がそれぞれ原則として2.75%となるように設定したものです。
・外国株式等は、株価の変動および為替相場の変動等により、元本の損失が生じるおそれがあります。

この資料は、東洋証券株式会社が信頼できると思われる各種のデータに基づき投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成したもので、投資勧誘を目的としたものではありません。また、この資料に記載された情報の正確性および完全性を保証するものでもありません。また、将来の運用成果等を保証するものでもありません。

この資料に記載された意見や予測は、資料作成時点のものであり、予告なしに変更することがありますのでご注意ください。この資料に基づき投資を行った結果、お客さまに何らかの損害が発生した場合でも、東洋証券株式会社は、理由の如何を問わず、一切責任を負いません。株価の変動や、発行会社の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込むことがありますので、投資に関する最終決定は、お客さまご自身の判断でなされるようお願い致します。この資料の著作権は東洋証券株式会社に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願い致します。

・商号等:東洋証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第121号
・加入協会:日本証券業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
・本社所在地:〒104-8678 東京都中央区八丁堀4-7-1
・TEL:03(5117)1040
・HP:http://www.toyo-sec.co.jp/