国内富裕層の嗜好品投資の傾向
せっかくですので、日本の富裕層の間で嗜好品投資についても見てみましょう。
バークレイズの調査によると、以下のような傾向があるといわれています。
日本の富裕層は純資産の平均 9%を嗜好品資産の形で保有していることが判りました。この比率は世界平均の約10%と概ね同水準です。
(中略)
日本の富裕層の持つ嗜好品資産のうち、わずか 15%のみが投機的な目的で所有されています。これに対し、この割合はアジア全体では 36%、世界平均では 19%となっています。
日本の富裕層が嗜好品資産を取得する主な動機は、こうした資産を味わう喜び(所有する嗜好品資産のうち53%)、嗜好品資産は一族や文化の一部という認識(23%)、資産を保護し後世に伝えるという使命感(21%)です。
参考:
日本の富裕層の嗜好品資産:一番人気は貴金属-バークレイズが調査-
引用文を読む限り、所有や鑑賞などの目的で購入した美術品や、代々の家宝などといったもののウェイトが大きいのかもしれませんね。
なお他に日本の富裕層の間では貴金属への投資も人気だと言われています。
保管ビジネスの重要性〜着目されるフリーポート〜
世界的な嗜好品投資への人気の高まりにより、投資家にとってはその保管や、税務などが課題となってきました。
そんな中注目を集めているのが、スイスやシンガポールなどにある、
フリーポート(自由港)
の存在です。
フリーポートの魅力は厳重なセキュリティと税の優遇措置だ。物品がここにここに保管されている限り、多くの国では5〜15%となっている関税を払わなくていいのだ。敷地内で作品が売れた場合、取引税がかかることもない。
(中略)
このようなフリーポートが現在世界中で建設中だ。シンガポールでは既に2年前にオープンしたフリーポートに、アジアのコレクターたちが白いリムジンで乗りつけている。ルクセンブルクや北京でも、数年以内にオープンするだろう。
参考: クーリエ・ジャポン 12月号 超富裕層が財を隠す場所「フリーポート」ってなんだ? より
このように便利なフリーポートの存在ですが、否定的な意見も存在します。
通常フリーポートに保管される嗜好品は売買される時に確認される他は、施設の管理担当者が点検をするくらいで人目につくことはほとんどありません。フリーポートで保管をする所有者の大半は、純投資目的(値上がり益を期待)の方が多いため、自身でコレクションし鑑賞するということがないためです。
素晴らしい美術品や宝飾品の数々が、厳重に保管はされているとはいえ、人目につかず眠り続けているというのは、少し残念なような気もしますので、市場が上手く回転し、最終的にはその品を本当に大事にしてくれる人の元へ届くと良いですね。