公示地価
(写真=PIXTA)

国土交通省が2016年3月22日に公表した「公示地価(平成28年1月1日時点)」によれば、全国平均の地価が8年ぶりに上昇。全国的にようやくリーマンショック以降のデフレが終息しつつあるようだ。果たして、公示地価は具体的にどのような変化があるのだろうか。また、都心部の不動産市況はどうなっていくのか、解説していこう。

地方中枢都市へと波及

公示地価は景気の回復基調を反映し、全国2万5255地点の平均で前年比0.1%の上昇となった。ただし、住宅地は前年比0.2%の下落、商業地は前年比0.9%のプラスとなっている。今年の公示地価の特徴は、三大都市だけではなく、地方中枢都市へと上昇傾向が拡大していることだ。東京、大阪、名古屋は住宅地、商業地ともに3年連続で上昇しているほか、商業地では北海道や石川県、広島県などで上昇している。

特に、札幌、仙台、広島、福岡といった地方中枢都市では、住宅地、商業地ともに三大都市圏よりも上昇率が高く、じわりじわりと地方にも波及している。

商業地をピックアップすると、最も上昇率が高かったのは大阪市中央区心斎橋2丁目39番1。1平方メートルあたりの公示地価は平成27年に570万円であったが、平成28年には827万円と45.1%も上昇している。これに続き、道頓堀でも40.1%の上昇を記録する地点があるなど、大阪のミナミ周辺が活発化している。そして名古屋駅前や梅田、難波などにまじって、金沢で31.2%上昇する地点が見られるほか、札幌でも26.4%上昇する地点があり、地価上昇はもはや東京だけの話ではないといえる。

オフィスの空室率低下、金融緩和が不動産投資意欲をかきたてる

全国的に地価が上昇傾向にあることはデフレ脱却の観点から好ましいといえるが、東京都心だけを見た場合、どのようなことが挙がるだろうか。

今回の公示地価で最も特徴的な出来事は、10年連続全国で最も地価の高い商業地である東京・銀座「山野楽器銀座本店」の1平方メートルあたりの地価が4010万円となったことである。これは2008年に記録した過去最高額1平方メートルあたり3900万円を上回っている。銀座を訪れる外国人観光客の増加や都心における店舗やホテルの需要が旺盛となっていることが、銀座一地点の地価にもあらわれているようだ。

そして、オフィスについては空室率が低下傾向にある。東京の都心部を中心に、将来の業容拡大を視野に入れて企業も積極的にオフィス移転や増床をしているようだ。なお、東京だけではなく大阪や名古屋でも空室率は軒並み低下している。

これに加えて、日本銀行の追加金融緩和も後押しをしているといえるだろう。マイナス金利導入により、資金調達環境はさらに良好となっている模様だ。これが不動産投資を押し上げている側面もあり、今後の地価上昇にさらに弾みをつける可能性を示唆する。

銀行による不動産融資はバブル期を超えて過去最高に

ここで気になるのが懸念点はないかということだ。実は銀行による不動産融資は、2015年にバブル期を超えて26年ぶりに過去最高となっている。日本銀行によれば、2015年の不動産業向け新規貸し出しは前年比6.1%増の10.6兆円である。特に信用金庫の不動産業向け貸し出しは、2006年のミニバブルを上回っている。

金融緩和の効果が出ているとはいえ、不動産業への資金融資は今後も続く可能性があるのではないだろうか。そのことを考慮すると、現状既に不動産バブルと言われており一部で警鐘がでているにも関わらず、更にバブルを助長することになりかねない。

バブル期よりも高い地価が見受けられることを考慮すると、今後の不動産市況についてより一層注意しなければならないようだ。(提供: 百計ONLINE

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