本記事は、野呂 エイシロウ氏の著書『仕組み化する人はうまくいく 先延ばしをなくし「すぐやる人」になる55の法則』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

締め切りまで2週間ある仕事でもいったん少しだけ始める
仕事はとっかかりまでに時間がかかります。そして気がついたら締め切りで大慌てに。そんな経験ありますよね?
以前の僕はそんな感じでした。
「この雑誌を読んでから仕事しよう」
「あと30分たったら仕事しよう」
「月曜日になったらやろう」
などとさまざまな言い訳をつけて、延ばし延ばしにしていました。でも結果的に大慌てになり、雑になり、評価が下がるという連続で悪循環です。
「どうしたらできるようになるか?」と真剣に考えてたどり着いたのが、ちょっとだけやるという行為です。
先ほど、2週間先が締め切りの日経MJの原稿に手をつけました。合計で1,700文字が必要な原稿ですが、そのうち500文字程度書きました。するとちょっと気が楽になるのです。取材した後なので気分が高揚しています。だからすぐに書けるのです。
ところが、2週間ほど放置すると、書こうという気にならなくなってしまいます。
また、いざ書こうという時に情熱が冷めている可能性もあります。そして記憶をたどって書くので、生々しさや勢いが足らなくなってしまうことも度々。それよりも、勢いがある時に、書きたいフレーズを書いてしまうのが望ましいのです。
そう、義務感で書いた文章ほどつまらないものはないと思います。
だから、勢いで書きたいと思っています。文章はできる限り、“勢い”がある時に書かなければならないというのが僕の持論です。
戦略的PRコンサルタントの仕事をしていて人々によく伝えるのは、“勢い”の話です。
勢いがある文章を書けるか、提案ができるかということにあります。勢いがあると、相手もドキドキ、ワクワクして期待します。
勢いがあれば、「これは面白いかもしれない」「これは、取材して世の中に伝えなければならない」などと思っていただける場合がたくさんあるのです。
そのために、まずは第一歩を踏み出すことが何よりも大切です。
これは何も文章に限らず、さまざまな仕事に応用できます。
ほんのちょっとでいいのです。
仕事は、はじめにちょっとだけ、かじればいいのです。企画提案書を書く仕事であったなら、とりあえずワードに少し書いてパソコン上に置いておけばいいと思います。
こうして少しずつ進めながらどんどん動いていくものです。まずは第一歩をスタートしましょう。すると見えてくる景色があります。ビジネスが大きく変化するので、ぜひともやってみてください。

「とりあえず7割」ルールで無駄を減らす
仕事で何よりも大切なのは速度です。
仕事で成功する人はとにかく速いのです。下手でもいいからどんどん進める癖を持っています。
日本の企業の仕事の仕方で違和感があるのは、とにかく、緻密に時間をかけてゆっくり進み、最終的に「中止」「残念ながら保留」となって、全てが止まってしまうケースの多さです。本当に残念だと思います。
たとえば企画書。2日間かけて緻密に書いて「ボツ」になったら、その2日間の努力と時間と人件費がハッキリ言ってしまえば無駄です。
「無駄とはひどい」と思うかもしれませんが、それが現実です。
仕事は、体力をつけるためのトレーニングではありません。仕事は何らかの成果を出すために行わなければなりません。
もし、あなたがサラリーマンなら、「まあ、上司に言われてやったことだし、それも仕事。別にいいか」と思うかもしれません。
でも、僕のように自営業の人間にとって、ボツは全て無駄です。そんな無駄は少しでも減らしたいのです。
ですから、もし、中止になるとしても、損害は最小限にしなければなりません。
そこで心がけていることがいくつかあります。
- メールでA氏に打診。こんなことを考えているけど興味があるかどうか?
- 早急にペラ1枚の企画書を簡単に書いて打診。もしそこで方向が違うと言われたらミーティングを即座にして修正
- 7割企画書ができたところで、「まずは、まだラフなのですが」とさらに打診。そこで心が変わるかどうか調べながら進める
- もし、その時点で「やっぱりないな」と言われたら、無理をせずに即時中止
- でも、その7割できた企画はもったいない。だからその企画を別のB氏に打診。
- B氏が興味を持ったら、その7割の企画書をさらに訂正
ということを繰り返しています。
つまり、大切なのは、自分なりに勝手に完成させて相手に判断を仰いで、「ボツ」になることを防ぐのです。
それよりも、中途半端でもいいから相手の意見を聞く癖をつけることです。
また、バランスを見ながら相談していくほうが、調整がしやすいです。
彫刻にたとえるともっとわかりやすいでしょう。彫刻を彫る時、仕事で失敗する多くの人は、足の小指から彫り始めます。それも超正確に彫り始めます。
それって実は超難しいことなのです。想像してみてください。彫刻では、「頭がどこにあるのか? 上半身のバランスは?」などと考える必要があるからです。通常、大まかに削りながらどんどん細かくしていきます。
「そんなこと当然じゃん」と思うかもしれません。
その通りです。でも仕事となると、そんな常識を忘れていきなり彫り始める人が、実は非常に多いのです。特にパソコンで仕事をしていると、ついつい細かいところに目が行ってしまいがちになります。でもそれはのちのち時間の無駄を招きます。
先ほどから述べているように、人生で一番大切なのは時間です。それをいかに無駄にしないかが大切です。
そのためにスケジュール管理を綿密にしているのです。だから仕事も今やっていることが無駄にならないように、頭を使う必要があります。
それに、無駄になってしまう仕事をたくさんやっていると、悪い癖がついてしまいます。「これもどうせ無駄になってしまうに違いない」と、仕事のやる気が失せる場合があります。だからなんでも7割で打診する。そんな癖をつけましょう。
人間は心が折れやすい動物です。完璧にやってゼロになったときの衝撃は計り知れません。ぜひとも7割で一度止まりましょう。

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