7日、オフィス仲介の三鬼商事が発表した3月末時点の東京都心5区(中央、千代田、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は4.34%となった。1月末が4.01%だったのに対し、2月末時点では4.04%とややアップしたが、今回はさらに0.30ポイント上昇。2カ月連続で空室率は悪化した。
新規供給のビルが相次いだことから、新宿区の空室率が4.86%と2月末に比べ1.03ポイント向上したのが目立つ。港区、千代田区もそれぞれ0.82ポイント、0.10ポイント上昇(中央区、渋谷区は小幅低下)。別掲のグラフから分かるように、ピークだった2012年6月末時点の9.43%から急降下してきたが、今年2月からそうした動きに変化が生じている。
これだけを見ると、都心のオフィス需給ひっ迫を手掛かり材料にしてきた不動産株にとっては悪材料に映る。しかし、もう一つ、不動産株の先行きを展望する上で見逃せないのが「オフィス賃料」の動向だ。
今回、三鬼商事がまとめた3月末のオフィス平均賃料は3.3平方メートル当たり1万7973円。1月末の1万7790円、2月末の1万7904円に比べ、ジリジリと上昇している。平均賃料の上昇は14年1月以降、これで27カ月連続。都心5区がすべて上昇している。
株式マーケットでは過去、オフィス市況が改善局面にあった06年ごろには空室率の低下の後に賃料上昇が加速した経緯を踏まえ、その〝時差〟から今後は賃料アップによる収益貢献を見込む向きがある。また、空室率も「5月以降は、空室を多く残した状態で供給されてくる大型ビルは少なくなる」(野村証券)。となれば、空室率の悪化は一時的。
東証REIT指数は最高値が視界に
7日、東証REIT指数は堅調に推移し、15年1月に付けた1990.45ポイント高値を目指す流れは変わっていない。不動産株は徹底的にマークする局面にある。(4月8日株式新聞掲載記事)
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