マネタリーベース: 紙幣の伸び率がさらに拡大

4月4日に発表された3月のマネタリーベースによると、日銀による資金供給量(日銀当座預金+市中のお金)を示すマネタリーベース平均残高は前年比で28.5%の増加となり、伸び率は前月(同29.0%)からやや低下した。日銀当座預金の伸び率が前年比39.6%と前月(40.6%)を下回ったためだ。

ただし、日銀当座預金の前年差額は、ここ数ヵ月にわたって73~74兆円台で安定推移している。つまり、伸び率の低下は分母にあたる前年の残高増加に伴うものであり、特に問題はない。

なお、最近増勢が強まっている日銀券(紙幣)発行残高は、前年比6.7%(前月は6.6%)と3ヵ月連続で伸び率を拡大、2003年2月以来の高い伸びとなっている。

訪日外国人の増加に伴う現金需要が追い風となっているほか、(1)相続税増税(15年1月~)、(2)マイナンバー制度の導入(15年10月~)、マイナス金利政策の導入(16年2月~)などで、タンス預金の増加に拍車がかかっているようだ(図表6~7)。

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金融政策との関係では、現行の金融政策におけるマネタリーベース増加目標は「年間約80兆円増」であり、単純計算では月当たり6.7兆円増が必要になるが、3月の月末残高の前月末比増加額は16.9兆円とこれを大きく上回った。

ただし、3月は季節柄国債(国庫短期証券含む)の償還(日銀当座預金増加要因)が多く、マネタリーベースが拡大しやすい時期にあたることが影響している。

実際、季節調整済みのマネタリーベースの月間平均残高で見ると、3月の増加額は前月比5.8兆円と、目標達成ペースをやや下回っている(図表8)。

ただし、季節調整済みのマネタリーベースの月間平均残高ベースでも、1-3月の平均では月7.8兆円の増加ペースとなっており、今年に入ってからもマネタリーベースの積み上げは順調に進んでいると判断できる。

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