小売り

業界の垣根を超えた大変動は必至

専門店・スーパー・コンビニの垣根はますます崩れていく。今後の活路はネットストアと融合した業態にある。新規参入の企業は、Amazonや楽天など既存店とどうすみ分けできるかが鍵。また、IT化は雇用を奪うため、国内のサービス従事者への影響は必須だ(中原)。

「グローカル化」した働き方へ

日系企業は、現地のニーズを見極める目利きを持たなければ、海外進出は難しい。ただ、イオンのように、日本での運営ノウハウを活かし、海外で成功した事例もある。グローカル化が今後の鍵を握る。40代は、日本で培ったノウハウを海外で応用する働き方を(渡邉)。

家電メーカー

高付加価値戦略を取らねば厳しくなる

ハイアールやホンハイなど、世界的家電メーカーが台頭してきた今、価格競争では勝てない。生き残るにはIoTのような高付加価値商品を作るか、他国が真似できない高品質の商品を生み出すことだ。高品質を好む消費者に照準を絞った商品開発に活路がある(中原)。

「モノ作り」で勝負できるかが問われる

シャープのようにリストラをされる前に、早めに自分から損切りする必要がある。高付加価値の製品を開発できる人は40代以降でも容易に職は見つけられる。「モノ作り」という広い視野で、スキルを応用した働き方ができるかが、生き残りの明暗を分ける(渡邉)。

運輸・インフラ

シェアは下がっても、日本ブランドはまだまだ健在

原発や新幹線など日本のインフラ技術は世界トップクラス。しかし市場規模では、低価格を武器に拡大する中国の後塵を拝している。とはいえ、中国は日本技術の模倣が多く、事故リスクが高いのも事実。長期で見れば、日本ブランドの輸出は有望な戦略だ(中原)。

海外へ飛び出すチャレンジ精神を持て

現在、国を上げて原発や鉄道などのインフラ事業の輸出を推し進めている。今後も、政府の援助を受けながら、海外市場に積極的に乗り込む企業が増えるため、市場は盤石だ。だからこそ、海外赴任への意欲は40代であっても積極的に見せるべき(渡邉)。

観光・旅館

「爆買い」後もしばらくは安泰か

日本を訪れる外国人旅行客は急増中。なかでも中国人は消費額の3割を占める。中国をはじめアジア圏の「中間層」増加に伴い、訪日旅行客数は今後も減る心配はなく業界は安泰だろう。ただ、中国経済の減速とともに「爆買い」は収束していく模様(中原)。

今のままでもOKな稀有な仕事

円安の影響など、今後もインバウンド消費は増える。2020年に外国人旅行客のピークを迎えることが懸念されるが、それは別物。海外に進出しなくても、国内需要は自然と増えていくため、40代であっても、このままの働き方で大丈夫だ(渡邉)。

中原圭介(なかはら けいすけ)経済アナリスト
1970年生まれ。慶應義塾大学文学部卒。経営・金融のコンサルタント会社、アセットベストパートナーズ㈱の経営アドバイザー。企業・金融機関への提言、執筆・セミナーで経営教育・経済教育の普及に従事。幅広い視点から経済や消費の動向を分析し、その予測の正確さには定評がある。『中原圭介の経済はこう動く 2016年版』(東洋経済新報社)など著書多数。

渡邉正裕(わたなべ まさひろ)ジャーナリスト/MyNewsJapan社長兼編集長
1972年生まれ。慶應義塾大学卒業後、日本経済新聞社に入社。2004年にMyNewsJapanを設立。同社代表取締役社長・編集長。綿密な取材で、日本の雇用・労働に関する問題に切り込む。代表作は『トヨタの闇』(ビジネス社、共著)、『10年後に食える仕事、食えない仕事』(東洋経済新報社)など著書多数。(取材・構成:麻生泰子・西澤まどか)(『 The 21 online 』2016年3月号より)

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