chikakouji
(写真=PIXTA)

2016年3月に発表された国土交通省による地価公示(全国の地価動向)によると、東京、大阪、名古屋の三大都市圏では、いずれも地価が上昇していることが分かりました。

商業地の変動率は、外国人観光客の増加によるインバウンド需要から、三大都市圏平均で前年の1.8%から2.9%に上昇しました。住宅地の変動率はそれほど高くありませんでしたが、平均で前年の0.4%から0.5%に上昇しました。また、東京圏だけに絞ってみても、住宅地の変動率は0.5%から0.6%とわずかに上昇しています。

そこで今回は、国交省発表の「住宅地の変動率上位順位表(圏域別)」をもとに、東京圏で人気の住宅地について考えてみることにしましょう。

東京23区の地価変動率は3年連続上昇、都心3区は変わらぬ人気

東京23区の住宅地の地価変動率は2.8%で3年連続のプラスとなりました。昨年からは0.9%上昇しています。都心だけでなく、全23区で変動率はプラスとなりました。その中でも、いわゆる「都心3区(港区、中央区、千代田区)」は相変わらず人気が高く、港区は6.3%、中央区は9.7%、千代田区は9.4%と高い変動率を示しています。

東京圏の住居地の変動率上位を順位でみてみると、1位が港区南麻布、2位が港区赤坂、3位が中央区月島、4位が中央区佃と都心3区の街が上位を独占していることが分かりました。また、6位・7位・10位に中央区、8位と9位に千代田区がランクインしており、5位を除いて都心3区の9カ所が、10位以内を独占するという圧倒的な人気を示しています。

選手村をはじめとする都市開発が進められている中央区

10位以内に5カ所がランクインした中央区は、2020年の東京オリンピックの選手村が晴海地区に作られるため、現在、急ピッチで都市開発が進められています。宿泊棟・高層ビルなどが建設される選手村の跡地は、大会後の2022年頃から分譲・賃貸マンションとなり、約5,650戸が供給される予定です。選手村の敷地内には高齢者や外国人向けの施設や、保育所などの建設も予定されています。

東京23区内のマンション供給数は減少傾向にありますが、中央区では月島や勝どきなどで多くのマンションが供給されています。東京オリンピックの経済効果による価格上昇に期待して、同区の高級タワーマンションなどを購入する国内外の投資家が増えていることも地価上昇に影響しているようです。

東京オリンピック開催までは、都心3区の地価上昇が続く見通し

都心3区を中心とした都心部の人気は根強く、少なくとも東京オリンピック開催までは地価の上昇が続くと予想されます。現在、都心部でタワーマンションを販売すると、1億円を超える高額の部屋も続々と売り切れとなるような状況です。高層マンションの建築ラッシュが続く一方で、地価上昇から所有者が土地を手放さず建設用地が少なくなっており、今後、高層マンションの建設は続かないのではないかとみられています。

また、分譲マンションの販売価格は高止まりしています。2016年4月に発表された不動産経済研究所のデータによれば、区部で販売された分譲マンションの平均価格は6,842万円でした。都下(区部以外の地域)の平均価格である4,766万円を大きく引き離しています。このため、いわゆるファミリー層は手が出しにくい状況で、購入者の多くは投資家など富裕層です。東京の不動産は、ニューヨークや香港など諸外国の大都市に比べて割安感があることから、今後、しばらくの間は国内外で人気が続くと考えられます。

3区以外では、日本で38年ぶりに医学部新設予定の成田市が5位にランクイン

今回の変動率上位順位表(東京圏)で、東京都の3区以外で唯一ランクインしたのが、5位の千葉県成田市公津の杜です。

成田市では国際医療の拠点となることを目的に、市内にある国際医療福祉大学で、2017年4月に医学部が新設されます。また、2020年には医学部付属病院が開業される予定です。日本で大学に医学部が新設されるのは38年ぶりとなることや、成田市が国家戦略特区に指定されており、都市再生のために駅前の再開発が行われていることが地価の上昇に大きな影響を与えています。

木更津市や君津市などの新興住宅地は、アクアラインの開通により高速バスを使うと都心まで1時間程度で行けるなど、交通の利便性が向上しました。また、住宅地の価格が他エリアに比べて安いことなどから人気が高まっており、こうしたことから地価が上昇傾向にあります。

まとめ

東京オリンピックの影響から、都心3区の住宅地の地価上昇は今後も続く可能性が高いでしょう。

都心のマンション価格は高止まり傾向にあることから、ファミリー層よりも投資家などの富裕層を中心に購入が続くと予想されます。オリンピック後は、日本国内で大きなイベントが予定されていないことから、3区の地価上昇がその後も続くかどうかは未知数ですが、当分の間は都心3区エリアの地価は底堅い動きをみせることでしょう。(提供: 不動産投資ジャーナル

【関連記事】
平成28年度税制改正で規制が入る「不動産投資に関する消費税還付」とは?
日銀のマイナス金利が不動産投資に与える影響とは?
不動産投資の成否のカギは対象エリアでの賃料相場の把握
規制緩和でAirbnbでの空室運用が実現!?高稼働率の実現も夢ではない
ROIを自分で計算できるようになりましょう! 不動産投資の重要指標