ゴールデンウィークの連休の一つでもある「子供の日」。そこで今年、祝われる日本の子供(15歳未満)は、2015年4月1日の時点で推計、約1600万人だ。総人口に占める割合は、たった12.7%に過ぎない。団塊の世代(現在68〜70歳)がおさな児だった1950年には総人口の3分の1を超えていた子供の数も、1965年年には約4分の1、今や8分の1まで縮小した計算で、かねてより大きな問題になっている。

少子高齢化は先進国にはほぼ共通した問題で、中でも最近は欧州諸国でも2極化が明らかになりつつあるという。少子高齢化を論じる際によく問題になる合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の平均数)を比べると、北欧諸国、英語圏諸国、フランス語圏諸国では1.5を上回っている一方で、南欧諸国、ドイツ語圏諸国では1.5を下回っている。人口を維持するのに必要な合計特殊出生率は2.08とされており、いずれの国でも人口減少は止まりそうにない。

安倍内閣も対策を打ち出す「人口減」

安倍内閣でも「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン・総合戦略」を策定するなど取り組みが進められてきた。同戦略の骨子は全国の出生力を2030年までに1.8程度に回復させ、2060年に1億人程度の人口の確保を目指すものだ。

合計特殊出生率は近年では、2005年に史上最低の1.26を記録した後、昨年に1.44程度まで回復したものの、過去の合計特殊出生率からは非常に見劣りする。実績値で言えば、40年前までさかのぼらないと見つからないからだ。

また、現在は少子化だとはいえ、結婚したカップルの出生力はそれほど落ちていないとも言われている。反対に、大きな問題は未婚者の結婚希望割合が低下していることだと指摘する向きもあり、価値観やライフスタイルの多様化も進んでいることも無視できない。

25年問題・40年問題に脅かされる人口推移

それでは、どのような人口減少社会の未来像を描けるのか。当然、その疑問、併せて懸念も浮かぶ。総人口の減少や労働人口の縮小がもたらすであろう負の影響だ。経済での需要の縮小、財政均衡の喪失、地域共同体の存続、医療・介護の負担増などなどさまざまな側面にも影響しかねない。

特に大きな変化になるとみられる2つの「波」がある。一つ目が、団塊の世代が75歳になる2025年だ。同年には、後期高齢者の割合が約20%に達し「介護業界で100万人の人手不足」が心配されており、総人口が初めて1億2000万人を切ると予測されているのもこの頃だ。

2つ目の波が襲ってくるとみられるのは、2040年で、同年には総人口が1億人を切ると予測されている。団塊の世代が平均寿命に到達し、2010年比では労働力が25%も減少するという。さらに、社会保障が膨張するとみられているほか、全国1800ある自治体のうち、約半数が消滅の危機を迎えるという試算もあり深刻な影響も懸念されるのだ。

外国人労働力を奪い合う時代へ

人口減少に対する対策の一つとして注目されるのが、「外国人労働力の活用」だ。常に、日本人の雇用への悪影響や、治安の悪化、文化的摩擦などへの不安を理由とする根強い国民的抵抗感もあり、今後どのように進展するのかも注目だ。

少し古いデータになるが、2009年の統計によれば、日本の労働力人口総数に占める外国人の割合は1%に過ぎない。他方、EUの主要国ではドイツ、イギリス、フランスでそれぞれ約9%、7%、6%となっており、労働者は日本に比べて多国籍だ。いずれせよ、日本国内の外国次労働力が相対的に非常に少ないと確認できるだろう。

他方で、日本が外国人労働力を求める理由もある。例えば、グローバル競争を戦う世界の先進的企業はすでに、先端技術者などを中心に、優秀な外国人労働力を必要とすることになる。

外国人を受け入れていくことは、人口構造の不均衡の是正、企業や社会の活性化、科学技術・芸術の振興にとってもプラスになる可能性がある。日本人はもともと海外文化の輸入に対して極めて柔軟な民族。とすれば、「多文化共生」はそれほど無謀な理想像ではないのではないだろうか。(岡本流萬)