リフォーム業界,なでしこ銘柄,女性活躍
(写真=PIXTA)

リフォーム業界でも女性が活躍する会社が増加している。各社、職場環境の改善や、女性社員の建設現場への登用などに取り組んでいる。国も4月から「女性活躍推進法」をスタートしており、この動きは今後より活発化していきそうだ。

女性の活躍支援に取り組む主な住宅事業者

積水ハウス : 育児休暇に関するフォーラム、女性職人の採用・育成
竹延 : 女性職人育成、社内保育園
大和ハウス : 幹部候補者研修、女性営業育成サポート
住友林業 : 仕事と育児・介護の両立支援制度、キャリア相談窓口
三井不動産 : 約150人の女性リフォームプランナー育成
OKUTA : 時短制度、女性中心の設計部門
TAKEUCHI : 育児中の時短制度

仕事と育児の両立

経済産業省と東京証券取引所では毎年、女性活躍支援に取り組む上場企業を、「なでしこ銘柄」として選定している。選ばれた積水ハウス(大阪府大阪市)は、育休後のスムーズな職場復帰支援に力を入れている。

その取り組みが、「仕事と育児の両立いきいきフォーラム」。これは育児休暇後の復帰に関する情報交換を目的にし、現在育児休暇中の社員、休暇を取得したことのある社員、そしてその上司が参加するものだ。昨年は全国7会場で開催し、400人が参加した。

「グループに分かれて、育児休暇中にできる資格取得やスムーズな復帰の方法などについて話し合います。育児休暇中の社員だけでなく上司も一緒に参加することで職場での理解を促します」(広報担当)

その他にも女性現場監督の採用と育成、女性管理職を今の倍である200人に増加させるなど、様々な取り組みを行っている。

積水ハウスの「仕事と育児の両立いきいきフォーラム」(写真=リフォーム産業新聞)
積水ハウスの「仕事と育児の両立いきいきフォーラム」(写真=リフォーム産業新聞)

福利厚生を充実させ、女性の活躍を支援している企業もある。新築ビルダーのアキュラホーム(東京都新宿区)では、社員の出産・育児を支援する「しあわせ一時金制度」を実施している。

これは社員の出産に際して祝い金を支給するもので、第1子で30万円、第2子で50万円、第3子で100万円を贈る。2008年から行っており、このほど支給総額が1億円を超えた。

女性職人も誕生

大手企業だけでなく、中小企業による取り組みも増えてきた。

大阪で住宅の塗装事業を手掛ける竹延(大阪市)。年商27億2600万円、約250人以上の塗装職人を抱える同社では、8人の女性職人が働く。子供がいる女性でも働きやすい環境を整えることで、女性職人の採用を増やしている。

女性職人育成の取り組みが始まったのは3年前。下地工事の専門子会社KMユナイテッドをつくり、完全週休2日、時短、胎児に害のある有機溶剤の使用禁止などを制度化する。

KMユナイテッドの桧垣知宏副社長は、「当社は1950年に創業した歴史ある会社。しかし最近では、職人の高齢化が深刻化していた。『新しい職人のなり手を育てないと生き残れない』という危機感があった」と話す。

同社のユニークな取り組みの1つが、「ペイントナビキッズルーム」と名付けられた社内保育園。早朝6時から子供を預けることができ、朝の8時には現場に到着しなくてはいけない建設業界の慣習に合わせた。

保育園の園長も兼任する桧垣副社長は、「今預かっている子供は2人。もっと増えて、賑やかになってもいいな」と笑う。

竹延では社内に保育園を設置。子供がいる女性職人をサポートする(写真=リフォーム産業新聞)
竹延では社内に保育園を設置。子供がいる女性職人をサポートする(写真=リフォーム産業新聞)

女性社員の比率は?

本紙では、リフォーム会社の経営者50人に対して、会社の女性社員比率を調査した。その結果、25~49%と答えたのは全体の約4割、50%以上と答えたのは約1割に上った。営業やプラン担当に女性を積極的に採用している会社も多く、女性社員の活躍は欠かせないものになっている。

女性活躍推進法が掲げる目標の1つは、2020年までに女性管理職比率30%。建築業界ではまだまだハードルが多いが、今後積極的に取り組む企業は増えてきそうだ。(提供: リフォーム産業新聞 4月26日掲載)

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