米国経済が目に見えて堅調な動きを見せており、投資家の注目を集めています。5月に入りNYダウ・S&Pは連日の最高値更新を続けており、強気相場の様相を呈しています。世界中の投資家が有望な投資先として米国を選択し、資金の流入が活発化している様です。
米国経済は2008年のリーマンショックを発端に世界金融危機のトリガーを引きました。その火は世界中に飛び火して世界経済は長い夜に突入しました。震源地である米国の中央銀行FRBはデフレを阻止する為に大規模な財政出動・金融緩和を実施しました。その規模は史上空前のスケールで実施され、アメリカドルのマネタリーベースはそれ以前の3.5倍まで膨れ上がりました。そのオペレーションによりドル安は進行し、アメリカ国内企業は内需の恩恵を受けて見事復活したのです。一方、日本経済を牽引している輸出企業にとっては円高という形で逆風を受ける事になりました。
皮肉にも金融危機を招いた米国経済が一番早く立ち直るという結果となりました。5月の米国非農業部門雇用統計は28.8万人の増加と市場予想を大幅に上回り、新規失業保険週間申請件数もリーマンショック以前の水準まで低下している事から米国経済はファンダメンタルズ的にも一段高の展開となりそうです。
米国国内のアンケート調査でも3人に2人が景気回復を実感している結果となっており、米国国内の消費マインドも堅調に推移している様です。その一方でマーケット参加者の注目している点はこの強気相場がどこまで続くのかという点です。FRBは景気の動向を見ながら政策金利の引上げ、不良債権買い取り等、一連の金融緩和策を引き締める出口戦略を打ち出しており、インフレ圧力とにらみ合いながら少しずつ緩和縮小のオペレーションが取られていく事はマーケットも織り込み済みです。
しかし、現在の株価を支えているのはこれら金融緩和により行き場を失ったダブついたマネーです。当然、緩和縮小のブレーキが効きすぎてしまうと日本のバブル崩壊の様な株価暴落を招いてしまいます。米国住宅市場も低い長期金利により好調な新規住宅着工件数を維持しており、金利上昇は住宅ローンを組む上で消費者には痛手となります。この様にマーケットトレンドの転換点はFRBの金融政策がカギを握っている為、今後の米国経済指標・FOMC発表時コメント・要人発言等をチェックする事をお勧めします。