先走る市場の失望売り

さて、麻生財務相の発言で400円超上がった株価は、GW明けには一気に400円超暴落しました。 この株価暴落の原因はいくつかあると言われています。ウクライナ情勢の緊迫、円高、アジア市場の全面安などです。 しかしもう一つの理由は、上がった時の根拠となったGPIFへの失望だと言われています。 これはどのような意味でしょうか。

既にGPIFは資産構成の17%を国内株式に割り当てています。この割合を数%拡大すると発表すれば、すぐに株価が上がるでしょう。するとGPIFの保有している株の割合が自動的に膨らんでしまうため、逆にGPIFにとっては資産構成の割合を維持するために、売り圧力がかかってしまう可能性があるのです。 そのような仕組みがあるため、外国人投資家がすぐに売りに出たのでは無いかとみられています。


GPIFの資金運用はまだ揉めるだろう

GPIFは資産運用の配分を変えられるのでしょうか。関係者の発言を見てみましょう。 公的・準公的資金の運用・リスク管理を見直す政府の有識者会議で座長を務めた伊藤隆敏東京大学大学院教授は、国内債を現在の60%から40%程度に引き下げるべきだと主張し、運用資産の半分は内外の株式に投じて年5%程度の収益率を目指すことが望ましいと語っています。

この有識者会議は2013年11月に報告書を提出しており、そこではGPIFは国内債に偏っている資産構成を見直し、新たなリスク資産への投資を検討すべきだと提言しています。 ただGPIFの三谷隆博理事長は、英紙フィナンシャル・タイムズの取材に対して、GPIFの使命は株価の下支えではなく、伊藤教授についても資産配分の実務面を理解していない、などと述べています。 しかし、政治的な駆け引きもあり、GPIFはリスク資産への投資を増やす可能性が高いと思われます。但し、便乗して儲けようとしている投資家は、そのタイミングに注意する必要があります。

【関連記事】
雇用統計と5月の相場について〜ヘッジファンド対GPIF?〜