資金循環統計,個人金融資産
(写真=PIXTA)

個人金融資産(16年3月末): 15年12月末比では35兆円減

2016年3月末の個人金融資産残高は、前年比10兆円減(0.6%減)の1706兆円となった。前年比での減少は2010年6月末以来のこととなる。年間で資金の流入超過が15兆円あったものの、株価の下落と円高の進行を受けて、時価変動(*1)の影響がマイナス26兆円(うち株式等がマイナス14兆円、投資信託がマイナス10兆円)発生したためだ。

四半期ベースで見ると、個人金融資産は前期末(15年12月末)比で35兆円の減少となった。例年1-3月期は一般的な賞与支給月を含まないことからフローで流出超過となる傾向があり、今回も13兆円の流出超過となった。

さらに、1-3月期は中国不安の再発や原油価格下落などから株安・円高となったため、時価変動の影響がマイナス21兆円(うち株式等がマイナス16兆円、投資信託がマイナス4兆円)発生し、資産残高を大きく目減りさせた(図表1~4)。

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ちなみに、家計の金融資産が、既述のとおり1-3月期に35兆円減少する一方で、金融負債は10兆円増加したため、金融資産から負債を控除した純資産は、1316兆円と、15年12月末の1360兆円から44兆円減少している(図表5)。

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なお、その後の4-6月期については、一般的な賞与支給月を含むことから、例年フローで流入超となる時期にあたる。ただし、米利上げ観測の後退や英国のEU離脱懸念などから、4月以降も株安・円高が進行しているため、足元の個人金融資産残高は3月末から殆ど増加していないと推測される。

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(*1)統計上の表現は「調整額」(フローとストックの差額)だが、本稿ではわかりやすさを重視し、「時価(変動)」と表記。
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