内訳の詳細: 投資信託から資金が流出
1-3月期の個人金融資産への資金流出入について詳細を見ると、季節要因(賞与等)によって例年同様、現預金からの資金流出(取り崩し)が多い。近年の同時期と比べると、現金からの資金流出が少ない一方で、定期性預金からの資金流出が拡大している。マイナス金利政策導入の影響で、定期預金金利がほぼゼロにまで引き下げられた影響が出たものと考えられる。
リスク性資産に関しては、株価下落局面での押し目買いもあったとみられ、小幅ながら株式等へ資金が流入した(0.7兆円増)。一方、投資信託は例年この時期には資金流入が進みやすいが、今回はわずかながら資金が流出(0.1兆円減)している。
マイナス金利導入に伴う運用難によってMMFの販売停止が相次ぎ、一部で払い戻しが行われた影響が大きいとみられる。実際、MMF・MRFから見た資金流出入(家計以外も含む)は1-3月の間に2.1兆円の流出超過となっている。
なお、株と投資信託に外貨預金や対外証券投資などを加えたリスク性資産の残高は264兆円、その個人金融資産に占める割合は15.5%と、12月末の282兆円、16.2%からそれぞれ低下している。株価下落等によって時価が減少した影響が大きい。
その他証券では、信託受益権(貸付信託等)への資金流入が顕著だが、要因は不明(図表6~9)。
今回はマイナス金利導入後初の公表であるだけに、個人金融資産の動きに特に注目していた。既述のとおり、投資信託からの資金流出は特殊要因もあり評価が難しいが、株式等に資金が流入したほか、対外証券投資への資金流入(0.6兆円、前年同期は0.01兆円)も目立った。
全体から見ればわずかな変化ではあるが、預金金利がほぼゼロとなる中で、一部家計が収益性を求めてリスク性資産投資を積極化した可能性がある。