いよいよVRゲームが爆発的に広まりそうだ。そのきっかけになるとみられるのは、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の著しい機能向上と、かねてから注目されてきたメーカーからの新製品の投入。VRゲームを中心に、一気に手の届く娯楽になりそうだ。
VRゲームでは、頭にHMDというヘッドセットを被り、目の前の液晶ディスプレイに映し出される迫力満点の映像と音によって、ゲームの世界をまさにリアルのように再現できるゲームになるとみられている。いったいどのVR機器メーカーやVRゲームメーカーがチャンスをつかむのか、目を離せそうにない。
Oculus Riftが先陣を切ったVR向けのHMD商戦
VR機器で大きな存在感を示しているのは、今のところ、HMDの「Oculus Rift」だ。アメリカのベンチャー企業Oculus社が開発したHMDで、他製品に比べて広い視野角を実現し、仮想世界をまさに見渡せる機能面からも注目されている。
加えてVRならではの臨場感を体験できるのも魅力といえるだろう。立体的な3D映像を、高精細に表現できるだけでなく、Oculus Rift に搭載されている、「ヘッドトラッキング」により、きわめて高い臨場感や没入感を味わえるとの触れ込みだ。
ちなみに、ヘッドトラッキングとは、ゲームなどのVRコンテンツを楽しむ際に、ヘッドマウントディスプレイをつけて頭を左右に回したり、後ろを振り向いたりすると、現実の頭の動きに合わせて、仮想世界の中での視界も、左右に触れたり、後ろを振り返るように動く機能。まさに「現実を超える」仮想世界を堪能させると認識されている。
「Oculus Rift」については、2016年3月に発売されており、アメリカはもとより世界各地で大きな話題を呼んでいる真っ最中でもある。PC向けのVRゲームを楽しむためのHMDとなりが、PCに高い処理能力を求める仕様だったり、価格設定が比較的に高いことから普及の足かせになるのではないかともみられている。
もちろん他社からも、同様の魅力的なHMDが次々と登場している。筆頭のライバルと目されているのが、ソニー <6758> のプレイステーション(PS)VRだ。特にトラッキングの精度で優れていると評判。PS4に接続して使用することから、ゲームコンテンツが今後、登場するのではないかと期待も高まっている。
また台湾のHTC社が開発した「Vive」、サムスンとOculusの共同開発による「Gear VR」など、すでに多くの企業が先進的で、手頃なHMDを提供しており、さらに活用していく動きがさらに強まりそうだ。
GoogleもHMDの開発を推進
Oculus Rift、PSVRなど注目のHMDが登場している一方で、開発・販売の競争も激しさを増していきそうだ。その一つがやはり、IT界の巨人・Googleだ。かねてからVR市場に意欲的に、他社とは一線を画した形での取り組みを進めており、おさらいしておこう。
GoogleのVRと言えば、自作用VRプラットフォーム「Cardboard」。無償で提供してきただけではなく、「段ボール紙」で筐体にレンズを取り付けてHMDを作っているというオモシロイ取り組みだ。無料であることや気軽にVRを疑似体験できることから、サードパーティからこのCardboardに対応するVRコンテンツも数多く登場していた。
もちろんGoogleでは、本格的なVRの開発も推進しており、同社のモバイルOSの「Android」向けにVR基盤「Daydream」の提供が始まる見通しだ。
Daydreamは「スマートフォン」「ヘッドセット&コントローラ」「ソフト」で構成されるプラットフォームで、Samsung、HTC、LG、Huawei、ZTE、ASUSなどのスマートフォンメーカーも連携に前向き。PSVRの発売とも重なっていけば、大きな動きにつながる可能性もありそうだ。
AppleがVRディスプレイでも追いすがる
では、Googleと並ぶ一方のIT業界の雄、AppleのVRへの取り組みはどうなのだろうか。新製品に関してはなかなか情報を公開しないAppleだが、「AppleがApple VRが開発している」という噂はここ最近後を絶たない。
事実、昨年7月にはiPodなどを組み込むVRゴーグルの特許を申請しており、今年1月にはアメリカでのVR研究の第一人者を採用る。同時期にVR動画作成向けの360度カメラ「Immerge」を開発したLytro社から人材を引抜いたとも噂されるなど、Appleが先進的な VRを研究・開発していることは疑いないだろう。
他方で、6月のWWDC(開発者向会議)では、ティム・クックCEOはApple VRに関する発表はなにもせず、AppleのVRを心待ちにしていたファンにとっては、肩透かしに終わった格好だ。秋の新製品発表時には、だからこそ、画期的なAppleVRが登場する予想はいよいよ高まっているところだ。
iPhoneが登場した時と同様、壮大かつ強烈な後出しジャンケンをするのはApple社の得意とするところで、従来の携帯電話が壊滅状態に陥ったことはそう昔の話ではない。VRで似た出来事が起こらないとも限らないのだ。
ハードだけでなくOSや周辺機器、そしてコンテンツが一体となった驚異的なVRプラットフォームが、VR元年と言われる2016年の後半、最後の大物としてアップル社から登場する予想は固いといえよう。Oculus、Google、Apple、ソニーなど大手IT企業や、ITベンチャー入り乱れてのVR覇権の争奪戦が、いよいよ本番を迎えようとしているようだ。(ZUU online 編集部)
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