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(写真=PIXTA)

混合診療の範囲を拡大し、患者からの申し出を受けて、新しい治療や投薬を実施できるようにする「患者申出療養」が、2016年4月から導入されました。

混合診療とは、公的保険が適用される保険診療と、保険が適用されない自由診療とを併用して行うことを指していますが、この混合診療は原則として禁止されていて、血管再生医療など一部の「先進医療」についてのみ例外的に認められています。

「患者申出療養」創設で、患者の負担軽減期待

今回の「患者申出療養」は、患者が、使いたい保険外の医薬品や医療機器について申し出ると、医師や患者団体の代表らでつくる国の会議が原則6週間以内に審査。一定の効果や安全性が確認できれば併用が認められ、難病を抱える患者の負担軽減が期待されています。

厚生労働省は、この「患者申出療養」について「未承認薬等を迅速に保険外併用療養として使用したいという困難な病気と闘う患者の思いに応えるため(中略)創設されました」と述べ、「将来的に保険適用につなげるための、データ、科学的根拠を集積することを目的としています」(厚生労働省ホームページ)と、わざわざ目的を明確にしています。

混合診療をめぐる対立根深く

それというのも、混合診療については賛成、反対の対立が根深く、自由診療で自己負担額を賄える富裕層と、保険が適用される医療しか受けられない層とに国民が分かれてしまう、いわゆる医療格差を生むと指摘されてきました。国民は常に平等な医療を受けられる「国民皆保険」の空洞化にもつながりかねないという指摘です。

このため厚生労働省は、「患者申出療養」は保険外併用療養費制度の中に位置づけるものであり、「混合診療」を無制限に解禁するものではなく、国民皆保険の堅持を前提とするものと、強調しています。