家計管理, 家計簿, 投資
(写真=PIXTA)

マイナス金利導入をきっかけに、これまで全く投資に関心が無かった方も、預金だけでなく収益性を期待できる運用商品での投資を始めたほうがいいのかも、と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、いざ投資を始めようと思っても、いったい自分が投資できる金額がどれくらいなのか判断できない人も少なくないはず。そんなときに、まず始めてほしいのが「家計管理」。家計を管理することで、収入から日々の生活での支出をふまえて、いくら投資に回すことができるのか把握できるようになります。

今回は、投資できる金額を決めるための「家計管理テクニック」をご紹介します。

テクニック1:手取収入の1割を貯蓄できていますか?

まず投資を始めようと思ったら、改めて現在の貯蓄額を確認してみましょう。毎月の手取収入のうち1割を貯蓄できていないなら、まだ運用体質には至っていないと判断できます。まずは手取収入の1割を積立貯蓄へ回すことができる家計体質を目指しましょう。

そして、手取収入から貯蓄に回す分を引いて残った資金で生活がしていけるように家計管理を行います。そして貯蓄に回した分は、教育資金や住宅資金、老後資金といったライフイベントのために簡単に手を付けない気持ちで始めてください。

貯蓄の鉄則は「収入–貯蓄=支出」です。つまり、確実に資産を形成する方法は、収入–支出=貯蓄ではないということ。余ったお金を貯蓄しようという発想ではいつまでも経っても貯まらない可能性大です。

勤務期間や勤め先にもよりますが、日本でのサラリーマンの生涯収入は、2億円とも3億円とも言われています。仮に生涯収入(退職金・年金除く)が2.5億円の場合、働き始めてから収入の1割を残し続ければ、定年時に2500万円という額を金融資産として残すことができます。定年退職時までにある程度の金額の金融資産を残したいなら、現時点で手取収入の何割積み立てていく必要があるのかが見えてくるでしょう。

生涯年収2.5億円の1割ですと2500万円となりますが、老後のゆとり生活資金としてはもう少し増やしておくことがおすすめ。仮にこの積立の期間が現役40年として2.0%を目標運用利回りとし達成できますと、40年後の金融資産残高は3800万円となり、2500万円の原資から1300万円ほど殖やすことができます。

つまり、手取収入のうち最低1割確保できていれば、2%までの安定性も重視した運用目標で3000万円以上に育てられる可能性があるということ。もし、手取収入の2割の貯蓄が可能ならば、半分は教育資金、住宅購入資金等の一定の時期に必要になる資金の準備として円建ての定期預金等で待機させ、残りは2%ほどの運用目標で育てていくというのも良いでしょう。

テクニック2:家計簿のすすめ

家計管理, 家計簿, 投資
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もし、手取収入の1割積立ができていない場合は、できない原因を究明する必要があります。そのために「家計簿」を活用しましょう。収入がいくらあり、支出も何に使っているのかを家計簿に記録し、1割積立の資金を捻出できないか検討してみてください。家計簿は、慣れてくれば1日10分で記入できるようになります。

家計簿を記録してみて、実は収入より支出のほうが多かった……なんてことも発見できるかもしれません。そのような状態のまま、現在の金融資産残高の中から投資を始めたとしても、早々に取り崩すことになり、いつまでたっても貯まらないということになってしまいます。手取収入の中から、積立投資資金を捻出できるよう策を講じてみてください。

テクニック3:苦痛を伴わない支出削減策

家計簿を記録することで、何とか家計から最低1割の積立投資資金を捻出するテクニックを紹介しましたが、やはり支出を削減することは辛いですし、限界もあります。どうしても今の支出を削るのが難しい場合は、保険の見直しとローンの見直しから手を付けてみてはいかがでしょうか。

保険は、年齢が上がるにつれて保険料が高くなるというイメージがあるかもしれませんが、各保険会社とも新しい商品を開発したり、価格競争をしたりしていますので、毎月の保険料を減らすことができる可能性があります。また、内容をあまり把握せずに保険に加入されている方も少なくないので、改めて内容を確認すると不要な保障内容まで入っていたということもあるかもしれません。すべてを解約しなくても、部分的に解約をすることで保険料負担を下げることができるかもしれません。

また、マイナス金利の影響でローンの金利も下げる傾向にありますので、借り換えることで毎月のローン返済額を減らすことができるかもしれません。

この保険とローンの見直しは「苦痛を伴わない支出削減策」。見直しすることで得をすることが分かれば、後は保険会社、銀行等金融機関で手続きをすれば良いだけだからです。

保険とローンを見直しても、最低1割の積立資金を確保ができないようであれば、テクニック2に戻って支出の見直しを行ないましょう。

家計を管理することが投資を始める第一歩。まずは最低1割の貯蓄を目安にすることで家計管理しやすくなるかと思います。投資を始める前に、まずは家計管理から試してみてください。

寺野 裕子
てらの・ファイナンシャルプランニングオフィス代表 。CFP ・1級FP技能士、投資助言業。14年から金融機関等からの紹介手数料等は一切得ず、報酬は顧客からの相談料のみに。 FP Cafe 登録FP。

(提供: DAILY ANDS

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