「よく眠れない」は仕事にも大きな支障となる
今、日本人の5人に1人が睡眠にかんする問題を抱えているといわれ、睡眠時間は十分でも、眠りが浅い、途中で何度も起きてしまうなど、睡眠の質に問題のある人も少なくありません。
特に、これからの梅雨シーズン以降は湿気が多く寝苦しい夜も多いため、普段、よく眠れる人であっても、十分な睡眠時間と睡眠の質を確保しにくくなるでしょう。
そのように質の良い眠りを得られない場合、疲れが取れないのはもちろんのこと、日中のストレスを解消できずイライラが溜まったり、心身のさまざまな症状が引き起こされたりします。
また、睡眠不足は老化や肥満の原因になるほか、仕事の際に集中力を欠いてミスをおかしてしまったり、作業効率の低下、聞き間違いや言い間違いなど、職場での諸問題を招いたりします。
深い眠りによって記憶力が良くなる
これまで睡眠の主な働きは心身の休息にあると考えられてきましたが、最近では睡眠中にも脳は活発に働いており、必要な記憶を定着させ、ストレスの元になる嫌な記憶を薄れさせる働きをしていることが分かっています。
脳は神経細胞の集合体であり、その神経細胞はシナプスという接触部を絡ませてネットワークを作っています。ノンレム睡眠という深い眠りの中、脳ではそのネットワークを効率化する作業が行われているため、深く眠ることは大変重要です。
ここでいうネットワークの効率化とは、パソコンでいうとファイルの整理のようなもの。ファイルが整理されてフォルダに格納されていると、必要なとき、すぐに探せるのと同じように、脳のネットワークが効率化されていると、必要な物事をすぐに思い出せるようになります。記憶力が良くなるといってもいいでしょう。
仕事のパフォーマンス向上に必要な記憶力を維持するには十分な睡眠が必要ですが、平日に睡眠時間を十分確保できない場合は、土日などに多めに寝るのでもかまいません。およそ2週間のうちに、平均して7時間半の睡眠時間になるように調整すればいいといわれています。
また、深いノンレム睡眠には嫌な記憶を薄れさせる働きもあるため、日常を爽やかに過ごせるかどうかは、深く眠れるかどうかにかかっているといっても言い過ぎではありません。