これまで、日本の教育機関は「マネーリテラシー」について積極的に教えてこなかった。その理由は、団塊の世代あたりまでは、セーフティーネットが充実していたからだ。「ご両親のお金に関するアドバイスはあてにならない」というつもりは毛頭ないが、この世代の両親から受ける際には注意が必要だ。

なぜなら、蓄え(ストック)と収入(フロー)の両方が充実しており、余計なことを考えないことが勝ちパターンだったからだ。 80年代には8%を超える預金利率、バブル期のピークから4分の1になった地価(国土交通省)、退職金の支給金額の減少(1975年:90.7%、2013年:75.5%、厚労省発表)、国民年金の支給額の引き下げ……、何ひとつとして老後を保障してくれるものなどない。

では、危機を感じて「今から自衛しよう」と考えたときに、一体何から始めたらいいのだろうか?考えなければならないのは、増やすことではなく、いかに守るかという点だ。大切なのは、まずは現状を知り、それに対する備えをすることである。