硬い体を解きほぐして「関節可動域」を広げるストレッチの方法

体が硬い状態になる最大の要因は、体を動かさないためです。動かさない状態を続けると、脳が体を動かさない状態を記憶し、いざ伸ばそうとしたときに「伸張反射(しんちょうはんしゃ)」という作用が強くなってしまいます。伸張反射とは、脊髄反射の一つで伸ばされた筋肉が戻ろうとする(収縮する)現象のことです。筋肉が伸びすぎないようにする、一種の防衛機能ではありますが、強く作用すると体を動かすときに違和感を感じてしまいます。

この伸張反射を緩めるためには、「スタティックストレッチ(静的ストレッチ)」を行い、少しずつ伸ばせる体の状態へと記憶を書き換えるのが有効な手段といえます。方法は鼻から大きく息を吸い、口からゆっくり10秒程度かけてお腹から空気を出すイメージで吐く腹式呼吸を意識し、リラックスした状態で反動をつけずにストレッチしていきます。ストレッチをする際に反動をつけて行う事がありますが、これは逆効果です。反動をつけるということは筋肉に対して急激な負荷をかけることを意味しています。筋肉にダメージを与えないためにも、反動をつけずに行うようにしましょう。

筋肉が柔らかくなり大きく伸ばせるようになれば、同時に関節可動域も大きく広がるはずです。関節の硬さと筋肉の硬さは表裏一体です。高価なマッサージが不要になるほどの関節と筋肉の柔らかさを目指しましょう。

正しいストレッチは「上質な筋肉」を作り上げる

筋肉は、筋肉の端と端にある腱という組織を間に挟み、骨につながっています。代表的なものとしてアキレス腱がイメージしやすいかもしれません。

腱は筋肉につながっていますので、腱を柔軟な状態に保つことが筋肉を柔軟に保つことにつながります。ここがポイントなのですが、腱をしっかりとコンディショニングできれば、筋肉を上質な状態に仕上げることができるのです。

大事なのは、ストレッチを行うときに筋肉を伸ばすという意識だけではなく腱を伸ばすというイメージも同時に持つことです。腱がしなやかな状態になれば、筋肉はさらに柔らかく機能的な状態へと変化します。

筋肉を酷使すると“疲れ”を感じ、部分的に硬くなってしまうことがありますが、上質な筋肉であれば自然なうちに疲れが引いていくということも夢ではありません。

職場のデスクでも簡単に実行できる「コンディショニング・ストレッチ」

多忙なビジネスマンは、普段なかなかストレッチを行う時間を取ることができないかもしれません。そんな方には、仕事場でもできる手軽な「コンディショニング・ストレッチ」をおすすめします。

まずは「上半身」です。上半身の肝は背筋です。ストレッチを行う際は肩の力を十分に抜き、リラックスした気分でご自身の椅子に腰かけましょう。ゆっくり胸とお腹を張り出しながら、5~10秒程度かけて息を大きく吸いこんでいきます。しっかり吸いこんだら、今度はゆっくりと息を吐きながら首、背中。腰を曲げていきます。これを3回ほど繰り返すと、胸や背中・お腹の筋肉が緊張から解放されます。

次に「下半身」です。座った状態で片足をまっすぐ前方に伸ばします。太もも全体に力を入れ、ふくらはぎや足の指先にまで神経を集中させて伸ばします。このとき上半身も背筋を伸ばした、正しい姿勢を保っておくようにしましょう。両足交互に、10~20秒ずつ伸ばします。終わったらゆっくりと力を抜き、足の筋肉を軽くマッサージしましょう。強く押しながら揉むというよりは、手のひらや指先で軽く摩るという感覚です。血行が良くなり、むくみも取れやすくなります。

忙しい合間のちょっとした時間にストレッチを取り入れれば、気分転換にもなり疲れをためにくい身体を作っていくことにつながります。例えば、休みの日に楽しむウォーキングやランニング、スポーツをするときにも、突然動くよりも普段からストレッチをしておけばしなやかな筋肉で取り組むことができるでしょう。 (提供: ヘルスグリッドオンライン

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