備えあれば憂いなし
3つ目に挙げるのは対応のシミュレーションである。良いイメージを持つことは大切だが、そればかりでは、予期せぬ事態や不都合な場面で動揺してしまう。しかし、当たり前だが、仕事をしていればこうした望ましくない状況に直面することは多々有るもの。動じず冷静に対応することが求められるが、そのためには事前に準備をしておけばいい。備えあれば憂いなし。あらかじめ起こり得る状況を想定し、対処行動を決めておくのだ。
これを徹底していたのが、バドミントン女子の高橋・松友ペア。8月11日の初戦突破後に、「初戦はオリンピックの雰囲気でもっと緊張すると思った」「初戦は自分たちにとって課題だった」と語っていたが、課題や不安を認めた上で、しっかりと対策を準備してきたのだろう。
ただし、先の展開を予測するだけで終わるのは、不安を増すだけなので逆効果。対策もセットで考えて初めて意味があるので、要注意だ。
感謝の効能
イチロー選手やメダリストのコメントで必ず出てくるのが、感謝の言葉だ。家族やコーチ、友人、応援しているファンなど相手は様々だが、誰もが感謝を語っている。素直な気持ちを表現しているだけだろうが、実は、感謝にはメンタルを強くする効能がある。
感謝できるのは、自分が相手に支えられていると感じているからである。これが重要なのだ。努力していれば、思うようにいかない時もある。高い目標を掲げるほど、苦しい期間も長くなる。挫折はこうした瞬間に訪れ、支えを感じていないと、自信を失い、諦めてしまう。しかし、支えられていると知っている人は強い。一人ではないという安心感と、相手の役に立てるという自己重要感が、挫折を乗り越える力になるからだ。
気づいていないだけで、誰もが誰かに支えられているものだ。小さなことでいいので、日々感謝を探す習慣を身につけてほしい。
以上の4つから分かるように、メンタルの強さは持って生まれたものではなく、日頃の意識付けが大きな意味を持つ。アスリートでなくても、メンタルを問われる場面は多いので、1つでも取り入れてみてはいかがだろうか。
藤田大介 DF心理相談所 代表心理カウンセラー この筆者の記事一覧
【オススメ記事 PR】
・「従業員からの支持率が高いCEOランキング」
・世界の15歳調査、お金のリテラシーが一番あるのは「中国」
・トップ企業は時給7000円超 「上場企業の時給ランキング2017」
・「長く快適に働ける」企業トップ20 1位の企業「転職は厳しい」の声も
・お金を稼ぐには地理を学べ 代ゼミの名物地理講師が説く「経済を地理から学ぶべき」理由