米国小売店の万引き被害額は年間2兆円弱
同様の結果は、昨年、全米小売業協会が発表した「全米小売業セキュリティー調査」でも立証されている。
昨年の米国小売店での万引き、従業員による窃盗、店側の手落ちによる損失額は、440億ドル(約4兆4501億円)にもおよぶ。そのうち170億ドル(約1兆7194億円)が、万引き関連だという。セルフレジがこの数字を押しあげていることは、疑う余地がないだろう。
これほどまでにセルフレジが悪用されているのであれば、小売店側はセルフレジによる効率化と損失を差し引いた収益を、秤にかける必要に迫られるはずだ。
しかし巨額を投じて普及させたテクノロジーを、一部の悪質な消費者が原因で、みすみす撤去するのは忍びないというのが小売店側の本音のようだ。
「今後引き続き監視と分析を実施する一方で、最も効果的な万引き防止対策を打ちだしたい」と、全米小売事業者経営者協会(RILA)はコメントしている。
米フロリダ大学の損失防止研究機関(Loss Prevention Research Council)のディレクター、リード・ヘイズ氏は、小売店のセルフレジの監視モニター担当者が、一度に複数の画面を監視しようとして「逆に監視が雑になってしまっている」と指摘。
また「監視カメラ設置」というサインをセルフレジ周囲に設置するだけでも、潜在的心理効果をあげると提案している。
効率化を優先させるか、利益を優先させるか。少なくとも欧米の小売店は、何らかの対策を投じる時期に差しかかっているようだ。(ZUU online 編集部)