ここ数年で欧米、アジアの主要都市で急速に普及したセルフレジ。消費者にとっても小売業者にとっても効率的な決済手段ではあるが、欧米の小売店における万引きの被害が4%近いという残念な結果が、最新の統計から判明した。
損害率にすると4%と、セルフレジを設置していない小売店の2倍にもおよぶ。欧州のスーパーマーケットの平均収益幅が3%であることを考慮すると、セルフレジは1%の損失を生む決済法ということになる。
セルフレジは1%の損失を生む決済法?
「レジ待ちの時間が長い」という消費者の不満を解消すると同時に、小売店側は「レジ担当のスタッフを減らすことで人員コスト削減が図れる」という狙いで導入されたセルフレジ。
万引きの懸念については導入以前に議論が持ちあがっていたものの、「人間は全面的に信用されると、かえって犯罪を働くことに後ろめたさを覚える」という仮定に基づいて、欧米では10年ほど前に登場した。
しかし心理学的見解が、けっして万人に該当するものではないという残念な事実が、レポートで明らかになっている。
調査は2013年12月から2015年2月の期間、米国、英国、ベルギー、オランダの小売店8店舗における、1200万回のセルフレジの利用を監視、分析したものだ。そのうち600万件の詳細を分析した結果、8万5000個の商品がスキャンされていない、つまり万引きされていることが発覚。
レポートを作成した英国国立レスター大学、犯罪学科のエイドリアン・ベック教授とマット・ホプキンズ教授は、「消費者を過剰に信用し、万引きの誘惑にさらしている小売店側に非がある」との見解を示している。