第2ラウンド:米国 ハリウッドVS中国 チャリウッド?
王氏が見据える、次なるエンターテイメント分野は映画である。2016年7月に3.5 億ドルで、世界第2位の規模の映画データベースを持つMtimeを買収した。Microsoftの幹部であったケルビン・ホー氏によって、2005年に北京で創設された同社は、早くも複数のハリウッドスタジオから商品化権を獲得している。ハリウッド映画の国内輸入配給を円滑にし、さらに中国産の映画も国外に広く輸出することを狙ったものとみられる。
ただ中国の映画産業への懸念が全くないわけでもない。2020年に米国を抜くともいわれていたが、映画鑑賞や観光などの娯楽産業の成長は鈍化気味だ。経済成長の減速に加え、映画よりもゲームに熱中する人が増えたことが映画離れを加速させている。
それでも王氏の動きは止まらない。国内企業のみならず、2012年に負債付き26億ドル(約2100億円)で買収したAMCエンターテインメント・ホールディングスを皮切りに、16年1月に米国の映画制作会社レジェンダリー・エンターテインメントを35億ドル(約4000億円)、さらにはシネマグループのカーマイク・シネマを11億ドル(約1250億円)で買収している。7月には、ヨーロッパ最大級のシネマグループのオデオン&ユーシーアイ・シネマグループの9.2億ポンド(約1270億円)での買収を発表しており巨大な映画グループを作り出そうとしているかのようだ。
メディア各社のレポートによれば、王氏は米国パラマウント映画の株式の49%を40-50億ドルで、買収を検討しているそうだ。今後も積極的な買収が続けば、ハリウッドが中国資本に変わり、「チャリウッド」が誕生するかもしれない。
王氏の一人息子も、父に負けじとビジネスを拡大している。28歳の王思聪(ウォン・スーツォン)氏は、英国の名門大学・The University College Londonの哲学科で西洋思想を学び、現在はワンダグループの理事を務める。ほかにも、自身の投資会社やゲーム会社をM&Aで拡大している。「国民的花婿候補」と呼ばれ、その発言や行動でパパラッチに追い掛け回されているが、ビジネスに関しては野心家であるようだ。
野心家である王氏が、中国資本で世界の消費産業をコントロールする野望を実現する日は遠くないかもしれない。 (ZUU online編集部)
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