顔認証,五輪,キャッシュレス
(写真=Thinkstock/Getty Images)

顔パスやツケといえば、「信用のある常連さんが使うもの」というイメージはないだろうか。デジタル技術で、万人が使えるようになる時代がすぐそこまで来ている。

顔認証で個人識別 その精度は地球で「ただ一人」を割り出せるレベル

近年、指紋認証や虹彩認証などといった身体的特徴や行動的特徴を用いて、個人を特定する生体認証の技術が急速に向上している。なかでも専用機器が不要で、非接触での効率的な認証が可能という理由で、さまざまな分野で実用化されつつあり、注目を集めているのが顔認証技術だ。

入館システムなど、日常に根差した場面で顔認証を行うには、一度に大人数の顔を認識して素早く処理する必要がある。対象は常になんらかの動作をしていることが自然で、正面を向いているとは限らない。条件が一定でない状況でも顔認証が可能になり、その精度は既に実用レベルにまで達してる。

顔認証 de 入館 コンサート会場でもスイスイ快適入場

NEC <6701> は歩きながら顔認証ができる「ウォークスルー顔認証システム」の実証実験を、2016 年4~8月の5カ月間にわたって実施している。対象は同社の社員約1000人で、東京・三田の本社ビル社員用入退出ゲートにカメラを設置して、出勤・退社時に顔認証を行うというものだ。同システムは、認証精度99.7%以上で世界最高水準の性能を誇っている。

コンサート会場での入場管理にも、顔認証技術が活用されている。2015年12月にさいたまスーパーアリーナで開催された、ももいろクローバーZのコンサートでは、チケット転売防止の目的で、顔認証技システムが導入された。顔認証による本人確認は、浜田省吾やB’z、福山雅治などのライブでもすでに採用されている。混雑した会場での入場もスムーズにできるため、嵐など今後顔認証システムを採用する予定のアーティストもいる。

顔認証 de 決済 FinTechの加速とともに開発も進む

金融とITの融合である「フィンテック」の分野でも顔認証技術が注目されている。

三井住友フィナンシャルグループ <8316> は、顔認証による決済サービス実用化に向けた検討を進めている。2017年には小売店での実証実験を開始し、数年以内の実用化を目指す。同サービスでは、目や鼻といった顔のパーツの位置や大きさなどを読み取り、個人の特定を行う。顔認証をクレジットカードや銀行口座の個人認証に活用することで、消費者は現金やカードを持たず「顔パス」での買い物が可能となる。

前述の高性能の顔認証システムを持つNECも、本社ビル内の売店で2016年6〜8月の2カ月間、同様の実証実験を行っている。そのほかにも広島銀行 <8379> も本店ビル内の食堂で2016年2月からの2カ月間、実証実験を行った。2社ともに実験対象は社員・行員に限定したが、今後の実用化に向けた運用ノウハウを蓄積している。