手ぶら文化も進む? 顔認証のある世界とは

顔認証技術の活用により顔パスが実現することにより、生活の様々な場面で利便性が向上するだろう。スポーツクラブなど会員制の施設では、手ぶらでの利用が可能になるほか、現金の引き出しも暗証番号やカードなしで行える。サービスや店舗でキャッシュレス決済が可能となれば、財布やカード、そのほか決済端末の持ち運びが不要となり、災害時にも現金が引き出せる。

防犯・セキュリティレベルも、顔認証技術の活用で格段に向上するだろう。顔認証技術は、スマートフォンやパソコンの生体認証にはすでに使用されているが、指紋認証などに比べると3次元で立体的に識別されるため、偽造が難しいとされている。盗難やハッキングの恐れもないため、カードや暗証番号に比べて安全性が高いため、オフィスなどの入退室管理や空港などのセキュリティへの応用も検討されている。

東京五輪を控える2020年までには、全国の主要空港に顔認証による、本人確認のシステムが導入される予定だ。日本人の出入国審査を無人化し、訪日外国人向けの入国審査官を増員。テロ対策の強化と出入国審査の時間短縮に繋げる考えだ。

「徘徊老人」「夜行バス運転手の過剰労働」など社会問題解決にも期待

企業やサービス提供者は、顔認証技術の向上で利益拡大や業務効率化への期待が高まる。すでに商業分野では実用化されており、遊園地などの施設での顧客管理、商品や広告の注目度の数値化に活用されてきた。管理の精度が向上すれば、更なる利益拡大が見込めるというわけだ。

ほかにも、介護施設での認知症患者など見守り対象者の検知、夜行バスの運転手や企業の従業員の居眠りや体調悪化の把握が、自動で行われるようになる。近年問題になっていた夜行バス運転手の過剰労働なども、システムで見える化することで解消できる可能性があるのだ。

日本が誇る世界最高技術が五輪を守る

顔パス社会の実現には、高精度の顔認証技術が不可欠だ。リオ五輪・パラリンピックで、は空港での出入国管理や、記者会見場での入場チェックで活用されたが、採用されたのは前述のNECの顔認証技術だ。

同社の技術は、米国国立標準技術研究所(NIST)によるベンチマークテストで、参加した全3回で世界一を記録しているほどの高性能だ。2013年テストでの照合率は97%、検索速度は1秒当たり302万人であった。更には最新アルゴリズムをノートPC(Intel Core i7 2.7GHz、8スレッドでの並列処理)に移植して同社独自の検証したところ、1秒当たり3300万件の検索が可能であったと公表されている。この技術を活用すれば、3秒ほどで約1億件の検索ができるのだ。

東京五輪・パラリンピックに向けて、利便性・セキュリティ向上に向けた環境整備が、都市部を中心に加速するはずだ。その流れに後押しされて、顔パス社会が実現する日も遠くないだろう。(ZUU online編集部)

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