akiya
(写真=PIXTA)

全国各地に存在する「空き家」は、今や大きな社会問題となっており、国もその対策に取り組んでいます。人口減少に悩む地方だけでなく、首都圏などの大都市でも見られるようになり、その原因もさまざまです。空き家は、放っておくと不審者の出入りやゴミの不法投棄なども起こりやすく、建物の老朽化による倒壊の危険性も指摘されています。

そこで、若い世代の定住化を促したい地方自治体では、積極的な空き家対策に乗り出しています。今回は、その中心的な制度の一つである「空き家バンク」と、各自治体の取り組みをみてみましょう。

地方への移住促進、自治体が空き家バンク活用

多くの地方部では少子高齢化による人口減少に直面しており、地域の空洞化や農林漁業など地元産業の担い手不足が深刻な問題となっています。そこで、空き家の有効活用策として、地方への移住希望者や交流希望者に空き家を紹介し、定住化を図ろうという動きが加速しました。その代表例が「空き家バンク」です。

「空き家バンク」とは、主に自治体が、地方への移住や交流を促進するため、空き家を紹介する制度です。一般社団法人移住・交流推進機構が、物件情報などをワンストップで検索できるようにしたサイト(http://www.iju-join.jp/akiyabank/)を運営しているほか、各自治体のホームページでも「空き家情報登録制度」などの名称で実施しています。

マッチングで利用者メリットアピール

空き家の所有者は、それぞれの自治体に空き家を登録し、自治体は、空き家バンクを通じて紹介する仕組みです。利用希望者は、購入か賃貸か、希望する空き家を探して見つかれば登録します。注意したいのは、自治体はあくまで空き家の所有者と利用希望者のマッチングだけを行い、当事者間の交渉や契約、トラブルには関与しない点です。

空き家バンクのサイトを閲覧すると、多くの自治体が空き家物件の写真や所在地、建築時期、構造、設備といった簡単な内容を掲載しています。さらに、お役立ち情報として公共機関や子育て情報といった地域情報も充実させています。利用希望者の不安に対しては担当部署を明記し、自治体の職員が公共機関や環境などについて答えてくれる仕組みもあります。

同サイトを運営する一般社団法人移住・交流推進機構が2014年1月に行ったアンケート調査では、回答があった1,158市町村のうち、移住・交流促進施策を実施しているのは595市町村でした。このうち空き家バンクを実施しているのは、374市町村です。やや古い情報ではありますが、まだ利用率が高いとはいえない状況です。