不動産の権利関係リスク
多くの不動産にはいくつかの権利が複雑に絡み合ってリスクとなる例があります。一般的によく知られているものとしては、抵当権が挙げられるでしょうか。住宅ローン等の融資の担保となった不動産に付けられる抵当権ですが、抵当権そのものがあっても不動産の使用等に制約があるわけではありません。しかし万が一債務者が破産して債務不履行となると、債権者によって競売が申し立てられこの不動産は強制的に売却されてしまうことになります。投資のために取得しようとしている不動産に前所有者の抵当権が設定されている場合、リスクを回避するために抹消手続きについては十分に確認したほうが良いでしょうね。売買契約しただけで、自動的に抵当権が抹消されることはありません。司法書士等によって不動産登記上できちんと抹消手続きがなされるかどうか、見届ける必要があります。
また、借地の上に建物が建てられている「借地権付建物」と呼ばれる不動産を取得しようとすることもあるでしょう。このような不動産で大きなリスクとなるのが、建物建て替えや売却時に地主の承諾が必要となることです。このようなケースの多くでは、承諾料の支払いという金銭的な解決策をとることになります。その金額は地域や契約条件により様々ですが、決して小さくはない出費となるリスクがあります。
他に私が不動産の現地調査をする時によく見られるものとして、越境物の問題があります。樹木の枝やエアコンの室外機、窓の庇等、隣地との境界線を越えてはみ出してる例が多く見受けられますね。これは当然のことですが隣地所有者の権利を侵害していますから、様々なトラブルの原因となるリスクをはらんでいます。些細なことと見逃しがちですが、このような細かいリスクを排除することは不動産の取引では非常に重要なことになります。
納得いくまで調査を繰り返す
以上、不動産に内在するリスクについて例を挙げて説明してきました。繰り返しになりますが、これらのリスクの殆どは事前に調査することで明らかになることが多いです。したがって契約をする前に、必ず入念な下調べを繰り返してください。登記簿や図面等の資料を読み込むこと、何回も現地調査に行くこと。面倒なようですが、このような地道な調査を繰り返すことでリスク要因を洗い出すことができ、事前に対処することが可能となるのです。
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photo credit: Neil Kremer via