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(画像=Webサイトより)

パソコン販売・修理の「PC DEPOT(PCデポ)」が、認知症を患っている80歳過ぎの独居老人に、カスタマーサービスとして毎月1万5000円ものサポート契約を結ばせ、その解約に10万円もの契約解除料を支払わせた騒動。判明したきっかけは、その息子がTwitterに書き込んだことだった。

背景には、PCデポという会社自体に組織的問題点

Twitterで一気に拡散するや、高齢者の無知につけ込込む悪徳ビジネスの存在が知れ渡るのだが、騒動はこれで終わりではなかった。契約の背景には、PCデポの会社自体に組織的問題があったことも明るみに出たのだ。

さらにはWebライターの ヨッピー氏が、当事者がPCデポを訪問する際に動向、その様子を含めてYahoo!個人に「PCデポ 高額解除料問題 大炎上の経緯とその背景」と題する記事を掲載、大きな反響を呼んだ。

PCデポは、パソコン販売と設定や修理のアフターサポートの充実が人気を呼び好調な業績を上げていた。しかし今回起きたこの問題は、「トウゼンカード」という月に一度提出が求められている従業員の成果目標をチェックする存在である。

成果目標とはいわばノルマのことであり、具体的な数値目標が記されていて、さらに「会員様思いとどまり平日/土日共通2件」という、契約解除に来たお客様を説得し思い留ませる目標値まで書かれているという。

店頭販売でも訪問販売に置いてもノルマがきつくなると、どうしても強引な販売手法を取るのが昔から同じパターンではあるが、PCデポの元社員や現役スタッフはツイッターでトウゼンカードが実質的なノルマであったと主張している。

テレビ朝日のモーニングショー

騒動について12日放送のモーニングショーが独占取材を敢行し、現役のPCデポ従業員からの内部告発を引き出している。最初は罪悪感があったが次第に麻痺して意識も薄れていったと述べている。

さらに店舗によっては朝礼で、どの項目では何件取りますと言わされたという。それが達成できない場合には上司から呼び出され、取れなかった理由を言わされ圧力を受けるのだそうだ。会社側はこのトウゼンカードはあくまで目標でありノルマではないと説明している。

しかしこの説明には少し無理があり人事評価の20%ほどをこのトウゼンカードが占めるということからも「ノルマではない」とする説明はおかしい。こうした数値目標の存在が圧力となり、無知な高齢者につけ込み高額契約プランの押し売りへとつながったのだ。

決して他人事ではない

今回の件は決して他人事ではないということを記しておきたい。そもそも金額こそ低いものの大手携帯会社も解約できる期間が限定されていたり、よく理解できないまま契約時に様々なサービスと一緒に契約されるという似たような事例はたくさんある。

今回の件を受け後手ではあるが、PCデポ側は「70歳以上の高齢者に対し3カ月以内の解除を無料とする」ことを公表した。こういった問題が起こっていることすら知らないで新しく契約する高齢者が存在するかもしれないし、身近な人が巻き込まれる事態は決して他人事とは言えないのだ。

PCデポでは今後、「社長直轄の300名体制のプロジェクトで教育、運用、管理監督の強化」すると公言してはいるが、そもそも論から言えば、一番の原因は「わかりづらい契約書の見直し」から改善する方が先なのではと思うがそこには触れていない。

契約書を良く見ないほうが悪いのか、これからは益々高齢化社会になって行く。PCやインターネットに詳しくなく内容を理解しないまま契約書にサインをしてしまう可能性も出てくる。つまりは詳しくない人ほど、問題を抱えることになるわけで知らないまま新しく契約する人の可能性は捨てきれるものではない。