クレディスイス、シティ、HSBCを含むウォールストリート大手7社と、ブロックチェーン企業、AXONIやR3CEV、米証券業金融市場協会(SIFMA)などが提携し、9月20日に「リファレンスデータ(照会情報)管理」の実証実験を行った。

この大型プロジェクトは分散型台帳のプロトタイプを利用して、リファレンスデータ処理におけるリスク管理、コスト削減、効率性の改善を図る目的だ。

金融機関の頭痛の種「リファレンスデータ管理」を効率アップ

長年多くの金融機関を悩ませてきた難題のひとつ、リファレンスデータ管理をブロックチェーン化することで効率をあげ、それと同時にコスト削減につなげることが可能になる。

従来のリファレンスデータ管理システムは完全自動化されておらず、各機関が独自の記録を保管しているためひとつの情報を処理するのに二度手間、三度手間を要し、時間やコストという面で著しく利便性が欠如していた。

実験では有価証券の発行に関するデータを題材に、AXONIの分散型台帳ソフトを利用して発行後の記録プロセスの管理処理が行われ、規制当局や企業がリアルタイムで処理の詳細を監視・記録できることが確認された。

この実験が実用化されれば、金融機関によるリファレンスデータの共有が現実のものとなる。重複コストが軽減されるだけではなく、データ処理の速度も大幅にアップするというわけだ。

R3のデヴィッド・ラターCEOは、今日の金融機関にとってデータの質の向上が必須事項であることを明確にしたうえで、従来の手動システムでは実現が困難である点を指摘。正確性や透明性に欠けるデータを、ブロックチェーンで一掃する意気込みを見せている。

今回実験に参加した大手銀行とR3、Axoniは今年4月にもCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)取引のブロックチェーン実験を行い、リアルタイム取引を成功させている。

まだまだ実験段階の域をでないブロックチェーン技術と金融システムの融合だが、今後これらの実験結果が実用化され、金融取引システムの歴史が大きく変わっていくことが期待できるはずだ。( FinTech online編集部

【編集部のオススメ FinTech online記事 】
金融業界のビジネスパーソンはFinTechの進行に危機感を持たなければならない
「フィンテックは必ずしもハイテクばかりではない」みずほFG 山田執行役常務・CDIO
freee「本質的で価値あるものを生み出し、社会に、業界にインパクトを与える仕事を」
米信用組合、クレジット・ユニオンが巨大ブロックチェーン研究組織結成
ブロックチェーン投資で年金の積み立て? カリフォルニア州公務員退職制度機関が検討