米国における白人と黒人の時間給格差が、1979年から10ポイント上昇していることが最新の統計から判明した。

人権問題や人種差別の撲滅に向けた活動が世界中で広がっている反面、過去36年間、白人と黒人の時間給格差は性別を問わず断続的に拡大しており、米国に根強く残る「闇の人種差別」が反映されている。

白人よりも高所得層のアジア系米国世帯 黒人世帯の2倍以上の年収

米国のシンクタンク、エコノミック・ポリシー・インスティテュート(EPI)が発表した、人種間における時間給の変動を分析したレポートでは、1979年の米黒人男性の時給が米白人男性よりも平均22.2%低かったのに対し、2015年には8.8ポイント増えている。女性の時間給格差は6%から13ポイント増と3倍以上だ。

昨年米国勢調査局が行った調査でも、中央値が4.4%あがった米白人男性の所得に比べると、米黒人男性の中央値は0.3ポイント少ない。

同様に米白人世帯の年間所得の中央値は6万3000ドル(約636万円)だが、黒人世帯は3万6898ドル(約373万円)と70%もの差が開いている。

同じ新卒生でも黒人というだけで、1980年の時点で10%の開きがあった初任給が、2014年には18%まで拡大している。

この格差は特に女性の労働者で高まっており、「黒人女性は賃金の安い南部で働く傾向が強い」という事実を考慮しても、納得のいかない人種の壁が立ちふさがっているのは否めない。

白人女性が性別による所得格差の縮小から恩恵をうけているのに対し、黒人女性の多くは不公平としか例えようのない賃金で労働せざるを得ない状況である。人種間の所得格差は依然として存在するどころか、年々悪化傾向にあるということだ。

EPIで人種問題を取り扱っているヴァレリー・ウィルソン氏は、米国で人種格差が根強く残っている事実を指摘。

ほかの主要人種を見てみると、ヒスパニック系(スペイン語を母国語とする中南米系)米国世帯の所得中央値は4万1000万ドル(約414万円)。黒人に次ぐ低所得層だ。

興味深いのはアジア系米国世帯の所得中央値が、米白世帯を上回る7万7200ドル(約780万円)である点だろう。米黒世帯の2倍以上の年間所得だ。

肌の色や目の色でこれほどまでに所得に差のでる国を、果たして「発展国」や「経済大国」などと呼べるのだろうか。(ZUU online 編集部)