無駄なお金、活きるお金の見分け方
キャリアの方向性が明確になり、人間関係を良好に築くことができても、必ずついてまわるのが「お金」の問題です。せっかくキャリアや人間関係で良い努力ができていても、無駄なお金の使い方をしてしまった瞬間に、これまでの努力が崩れてしまいます。お金とは会社の予算という意味に留まらず、個人の日々のお金の使い方まで全てを含みます。
お金は、やみくもに使っても成果は出ません、かといって使うべきところに使わないと何も得ることはできません。出費は誰しも嫌なものですが、ここには2種類の出費があることを確認しておきましょう。単に消えていく「消費」と、リターンが見込める「投資」です。企業においてはどうしても、目に見える形で成果が出やすいということで、コストダウンが推奨されます。しかし、コストをダウンするだけでは企業も個人も成長しません。成長に向けたお金(投資)を一定レベルで使う必要があるのです。
たとえば、「新幹線でグリーン車に乗ることは贅沢か」という議論をたまに友人とすることがあります。私はグリーン車に乗ることが車内における快適な仕事空間を得ることだと捉えるなら、贅沢ではなく投資だと捉えます。グリーン車で作った企画書が1億円の価値を生みだしたなら、十分に元が取れます。
かつて、多くのM&Aを成功させている日本電産の永守重信CEOが、インタビューでこう話されていました。「文房具などは必ず3社コンペで見積もりを取って1円でもコストダウンする。買収した会社の決済は、小さな備品でさえ私がチェックしてコストを最小化する。しかし、社員教育やモチベーションを上げる社員寮の建て替えには億単位のお金がかかっても投資する。M&A後の企業の再建に必要なことはメリハリをつけたお金の使い方にある」とのことです。つまり、お金も何をもって無駄とするのか、消費と投資に仕分けすることが、成果を生むうえで大切であるということだと思います。
頑張ってコストダウンをしているのに成果が出ない、成長しないと思ったら、まずは消費と投資のはき違えをしていないか、仕分けによりチェックすることをおすすめします。出費の仕分けもまた、無駄な努力をなくす鍵を握っているからです。
これからは努力の「質」にシフトしよう!
これまで、成果を出す上で「すべき努力」と「すべきではない努力」に仕分けをすることが大切であるとお話ししてきました。また、一流の人は特に「キャリア、人間関係、お金」の3分野における努力の方向性の見極めが鋭いということもお伝えしてきました。
成果を出すためには一定レベルで努力の「量」は必要です。しかしながら、そこに「質」も伴わないと伸び悩んでしまいます。では「質」とは何かといえば、「努力の方向性」のことを言います。マラソン大会で間違った方向に全速力で走っても、いつまでもゴールにたどりつかないように、努力の分野を見極めることは何よりも大切なことなのです。
鈴木進介(すずき・しんすけ)経営コンサルタント、(株)コンパス代表
“思考の整理家"という肩書を持つ経営コンサルタントで株式会社コンパス代表取締役。 1974年生まれ、大阪出身。25歳で起業後、「金無し、ノウハウ無し、人脈無し、経歴なし」の中、鳴かず飛ばずの状態が続くも、その後、「思考を整理すれば、問題の9割が解決している」ことに気づく。以来、思考の整理術に開眼し、10年以上にわたり研究を独自に重ねて体系化。難しい問題をやさしく解きほぐす「セパレート思考」を講演などで伝授し、累計で1万人が受講した他、支援先は100社以上になる。著書に『1分で頭の中を片づける技術』(あさ出版)や『問題解決のためのセパレート思考』(フォレスト出版)などがある。(『
The 21 online
』2016年09月14日 公開)
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