最近では、すっかりNISAという言葉が定着してきたように感じている。NISAはもともと英国のISA(Individual Saving Acount)という制度が元になっており、日本版ISAという意味で「NIPPON」の「N」をつけNISAと呼んでいる。
英国では1999年からすでに利用されていたが、日本では2014年にようやく制度化された、まだまだ新しい制度と言える。また、2016年から非課税投資額が100万円から120万円に増額された。今回は、NISA口座の手続きや上手な利用方法について解説していく。
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NISAの基本と対象商品
NISA口座はまず、どのようなものか簡単に説明する。NISAとは、少額投資非課税制度と呼ばれ、株や投資信託の運用利益、配当金に対して本来かかる20%の税が非課税となる制度だ。期間は2014年から2023年までのうち最大5年間、購入できる金額は年間120万円と決まっている。2023年に口座を開設した場合には2027年まで毎年120万円の非課税枠が適用される。
NISAの対象となっているのは、上場している株式、EFT(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)、株式投資信託等だ。なお、FXはNISA口座の対象となっていない。
一度作ったNISA口座は移せない?
NISA口座は、20歳以上であれば誰でも開設することができる。すでに証券会社の口座を持っている場合にも開設は可能だ。証券口座を持っていない場合は、新しくNISA口座として開設する必要がある。ただし、NISA口座は一人一口座のみとなっているので、口座選びは慎重に行いたい。
NISA口座開設には、個人番号(マイナンバー)の告知、非課税適用確認書の交付申請書、非課税口座開設届出書、住民票の写しが必要となる。
注意点として、すでに口座を持っている場合、それをそのままNISA口座とすることはできないという決まりがある。どうしても移すという場合には、一度売却したのち、NISA口座にて再び同じものを購入することになる。その場合には、取引手数料などが発生してしまう。
反対に、NISA口座で保有している株式などを一般口座に移すことは可能だが、その場合は課税対象ともなりうるので慎重な判断を要する。
NISA口座の上手な使い方
では、NISA口座に適しているのはどのような金融商品なのだろうか。
基本的にNISA口座は、短期、中期、長期とどの投資スタイルでも自由に使うことができる。ただ、一般的には中長期で安定的な商品をNISA口座で運用する人が多いようだ。
その理由として、非課税枠の再利用ができないという点がある。先述したように、年間の非課税対象として購入できるのは120万円までである。仮に120万円分の株式を購入し、240万円となり売却した場合、その利益120万円は非課税となるが、その後新たに取得した株式についてはNISAの対象とはならないということになる。つまり短期売買の場合、その非課税枠をすぐに使い切ってしまい、120万を超えてしまうことも考えられるということである。もちろん、120万円を超えた分については、課税対象となる。
また、利用されなかった非課税枠は翌年に繰り越すことが出来ないため、毎年120万の非課税枠を最大限活用する運用方法が求められる。
これらのことから、個別銘柄の株式投資よりも投資信託が適しているとも言える。個別銘柄の場合、120万円ちょうどで購入できるとは限らないからだ。投資信託であれば、口数単位での購入が可能なため、そういった調整がしやすいというメリットがある。
これらを総合して考えるとNISA口座には、中長期の運用を前提に、安定的な金融商品を年間120万円の非課税枠を上限まで活用し、口数単位での購入が可能な投資信託で購入するという結論が導き出せる。
先に運用したい金額と商品を決めよう
前項で説明した通り、まとまった資金での投資ができない場合、非課税枠を利用しきれていないという状況も発生しうる。もちろん、非課税枠をフルに活用しなくても良いという方もいるだろう。それは個人の判断となるが、これからNISA口座の開設を検討している場合には、先ず運用したい金額、そして投資対象商品を予め決めおくといいだろう。そして、5年間の理想的なサイクルを想定してみてほしい。
その他のあなたの投資、資産運用を全体で見渡し、最もNISAに適したものを割り当てるようにしたい。つまり、自身のライフスタイルに合わせてどのようにNISA口座を最大限活用していくか、ということが課題となる。
余裕を持って準備しよう
現状では、NISA口座は2023年までの有期制度となっている。そのため、翌年2024年には、NISA口座を新規に開設できなくなるという可能性があるのだ。もちろん、その後の改正等により制度が変更することもあるので、常にアンテナを張っておく必要がある。
もしあなたがまとまった資金での投資を検討しているのであれば、制度終了が近づき焦ってなんとなく口座を開設するのではなく、余裕を持ってNISAに対する知識と口座開設の準備を進めることをお勧めしたい。
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