PEファンド間で売買を繰り返されるスシロー

日本を代表する回転寿司の「あきんどスシロー」の株がどうして外資系のファンドを転々としているのだろう。

スシローは、2003年に東証2部に上場した。ただ、創業した清水兄弟間で内紛があったのか、07年に清水兄弟の弟など大株主3人の株が「すき家」を運営するゼンショー <7550> に渡ってしまい、ゼンショーが筆頭株主となった。

清水兄弟の兄は、敵対的買収を撃退するホワイトナイトとして、投資ファンドのユニゾン・キャピタルと組んだ。ユニゾンは、MBO(経営陣による自社買収)によるスシロー株式の非公開化を選んだ。MBOのためのTOBは成功、ゼンショーは持ち株を手放すことになった。スシローは09年に東証2部を上場廃止となり、株式は非公開となった。

その後、ユニゾンは経営陣をスシローに送り込み、企業価値を高めることに努めた。11年には「かっぱ寿司」を抜き去り、スシローは念願の回転寿司業界の売り上げトップに立つことに成功した。日本一の寿司チェーンとして価値が上がったそのタイミングで、2012年にユニゾンはペルミラに全株を売り渡したのだ。ユニゾンは売却益約540億円を手にした。

MBKパートナーズはアジア専門のPEファンド

MBKは05年、米PEファンドカーライル・グループのアジア地区担当幹部6名によって設立された独立系投資ファンドだ。東京、ソウル、香港、上海を拠点に活動するアジア専門のPEファンドだ。社名のMBKは、創設者のひとりで代表者であるMichael ByungJu Kim氏の名前からとられており、韓国系と言われている。

MBKがこれまで日本で関与した案件は、会計ソフトの弥生、ユニバーサルスタジオジャパン、田崎真珠、インボイス、珈琲所コメダ珈琲店の5件だ。

会計ソフトの弥生は、07年ライブドアから買い入れ、立て直したのち、14年にオリックスに売却した。

テーマパークのユニバーサルスタジオジャパン(USJ)は、09年にゴールドマンと共同で買収して上場廃止後、USJを人気パークへと復活させ、再上場が噂されるほどまで勢いを取り戻している。

宝石メーカーの田崎真珠は瀕死状態の08年に第3者割り当て等で筆頭株主となり、経営を立て直した後の15年に入札で売り出しを行い売り切った。

通信料金一括請求サービスのインボイスは11年にTOBを通じてMBOを行い上場廃止、いまだ保有中のようだ。

名古屋が本拠地のコーヒーチェーンの珈琲所コメダ珈琲店は13年には、アドバンテッジパートナーズから買収、16年の今年IPOさせている。

今度はスシローの再上場か?

スシローグローバルホールディングスの16年9月期の中間決算(15/9-16/2)は、売上が700億円超の8%増、営業利益は過去最高だった。未上場会社であるため詳細は発表されていない。上期の既存店売上は0.1%増。待ち時間が長すぎるとの苦情もあるため、スマホのアプリで予約が出来るように対応を完了したという。足元の業績は悪くなさそうだ。日本一になり業績も安定しているだけにスシローが再上場する可能性は高いだろう。

日本を代表する日本食「寿司」の最大手チェーン店が韓国系のファンドに買収されるかもしれないということで注目度は大きい。コメダもMBKが買収以降、韓国や台湾店をオープンして国際化を進め始めた。スシローもこれから韓国などアジアに出店していくことになるのだろう。「韓国式スシロー」の今後の展開に注目していきたい。(ZUU online 編集部)