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(写真=PIXTA)

東京海上日動火災保険が2017年4月から、自動運転中の事故を自動車保険の補償対象に加える。日本経済新聞が11月8日付け朝刊で報じた。自動運転の事故を対象にした特約は国内で初という。

自動運転技術は、各国の自動車メーカーが技術開発にしのぎを削り、政府も後押しするなど開発が急がれている。懸案だった事故の際の「保険」のメドが立ったことで、自動運転の普及に弾みがつくかどうか注目される。

レベルによって違う自動運転技術

自動運転のイメージは人によって様々だ。「クルマが自動的に目的地まで連れて行ってくれる」というのはまだ先の話で、映画の中で出てくるような、ステアリングがない車両は現実に、日本では走行できない。

自動運転技術には、日本やアメリカの交通当局で定めたレベルがある。加速、操縦、ブレーキのうち1つの操作をシステムが行う「レベル1」と、複数の操作を行う「レベル2」まで実用化されている。これら操作を全てシステムが行う「レベル3」についても、多くの自動車メーカーが開発を急いでいるが、日産は8月、新型ミニバンにレベル3に相当するシステムを搭載すると、発表した。

Googleは「セルフドライビングカープロジェクト」を立ち上げ、既に1.5万km以上のテスト走行を終えている。電気自動車で注目される「テスラ・モーターズ」は、車体に搭載された各種センサーを使った「AutoPilot」という機能を既に搭載している。具体的には、レーンチェンジ機能や自動縦列駐車などが自動で可能だ。

しかしレベル1から3まで、いずれもドライバーは常時、運転状況を監視、緊急時の場合などは適切に対応する必要がある。

自動運転事故対応は初めて 無料で提供

それでも事故は起きている。自動運転中だった「テスラ・モーターズ」の車が、前を横切るトレーラーを認識できず、衝突。テスラの運転者が死亡した事故だ。テスラは、センサーがトレーラーの車体側面の白い色を認識できなかったうえ、感知したものの、車体の下だったため、道路標識だと錯覚したと見ている。

Googleも2月中旬、米国カリフォルニア州での自動運転車の公道試験中に、バスとの接触事故を起こしていた。

こうしたことから自動運転中の事故を自動車保険の補償対象にするかどうかも、注目されてきた。東京海上日動火災保険の場合、事故の補償について自動車保険の契約や更新時に全契約者に“無料”の特約として提供する。自動運転を対象にした保険は、国内では初めてだ。

東京海上は、対象レベルを「レベル3」まで想定。補償は自動運転システムの欠陥などが分かっている場合、運転者に責任がなくても保険金を支払う仕組みだ。自動運転中にシステムが誤認識して制御不能になったり、無人の車でハッキングされたりして事故が起きた場合も想定している。

現状の自動運転技術には、自動車メーカーや部品製造業者、ソフトウェア事業者など多くの関係者が関わり、事故があった際、「事故原因」や「誰が責任を負うのか」といった究明に手間取り、被害者の救済に時間がかかることが想定される。東京海上では、まず運転者に保険金を支払い、被害者を救済する。

また事故を起こして自動車保険で補償した場合、契約者の等級が3段階落ち、次年度以降の保険料が高くなってしまう。これも特約での支払いになれば、等級を落とさずに支払いを受けられるというメリットがある。

自動運転の3つの課題

自動運転の課題は山積している。市場投入を急ぐ日産は、ロードマップを公開し、インフラの整備、法律の改正、より高度なシステムの開発を3つの課題として挙げている。

自動運転は、高速道路の車線変更や合流といったシーンで、運転者がハンドルから手を離していてもスムーズに行われることなどが強調される。しかし、市街地の混んだ道路や日本で多い、歩道と区別のない狭い道路で、歩行者や標識をセンサーが完全に認識できるのかどうかなど、インフラ面からのアプローチも必要だ。

このセンサーの高精度化と、予期しない事態に遭遇したときに、判断、回避ができるようになる人工知能の学習技術向上も課題だ。

道路交通法などの法整備についても、議論が定まっていない。現行の制度下では、自動運転に関してはドライバーの制御下にあることが前提。事故の際の責任の所在について、「レベル2 」までは原則運転手にあると言われているものの、それ以降のレベルについては明確ではない。

米国では、自動運転モードで事故が起きた場合、責任の所在は運転者ではなく、自動車メーカーになると主張する声もある。しかし、自動運転にはソフトウェアも介在し、このアップデートを怠った場合、自動運転モードで走行中の事故でも車の持ち主が責任を問われる可能性がある、とする声もあり、責任のなすりつけ合いが水面下で始まっている。

このため海外の一部の自動車メーカーは、自動運転できる車に自ら保険をかけ、賠償責任を担う形態を目指す考えを示している。

事故の責任は人にあるのか、それとも車にあるのか。自動運転技術は、待ったなしで進み、普及に伴いハッキングなどの新たな脅威も増大するかもしれない。自動車保険の真価も同時に問われる事態になったようだ。(ZUU online 編集部)

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