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(写真=PIXTA)

預金を取り扱う金融機関には、都市銀行や地方銀行、信用金庫、信用組合など、さまざまな種類があります。それぞれの違いが分かるでしょうか。何となく分かっているつもりでも、その違いを正確に説明するのはなかなか難しいものです。

都市銀行 大都市に本店を置きながら全国で営業する銀行

都市銀行(都銀)は、東京や大阪などの大都市に本店があり、県庁所在地などの主要な都市に支店を置く普通銀行です。「都市銀行」について、法律で位置づけられた明確な基準はありません。

預金・融資・為替(口座間の資金移動など)という、いわゆる銀行の3大業務を行っており、近年では金融商品の販売などにも注力しています。営業エリアとしては全国規模で展開しているのが特徴です。

全国銀行協会に加盟していますが、この全国銀行協会には都市銀行だけではなく地方銀行や信託銀行、ネット銀行なども加盟しています。

現在、都市銀行と呼ばれるのは、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行のいわゆる3メガバンクと、りそな銀行、埼玉りそな銀行です。

地方銀行 第一地銀と第二地銀が存在する

地方銀行には第一地方銀行(第一地銀)と第二地方銀行(第二地銀)が存在しますが、前者の第一地銀から説明しましょう。これは全国の都道府県における大・中都市に本店を置く銀行で、全国地方銀行協会に加盟しています。全国展開する都市銀行とは違い、地元地域の企業や住民を対象に、地域金融の担い手として預金・融資・為替の業務を行っています。

各都道府県に1行以上存在しますが、愛知県に本店を置く第一地銀はありません。逆に本店を置く第一銀の数が最も多いのは福岡県で4行(福岡、筑邦、西日本シティ、北九州)あります。

地域社会の振興にも積極的で、地元企業や地域住民、行政機関とネットワークを築きながら、地域に根差して活動しています。現在の地方銀行数は64行(2016年9月現在)です。

第二地銀は41行(2016年9月現在)あり、所属は第二地方銀行協会です。そのほとんどは相互銀行から転換しています(元・信用金庫もある)。首都圏の1都3県にある第二地銀は、東京スター(旧・東京相和)、東日本(旧・ときわ相互)、八千代(旧・八千代信金)、神奈川(旧・神奈川相互)、京葉(旧・千葉相互)です。相互銀行とは、かつて存在した企業形態で、中小企業などを対象に相互掛金を主に扱っていました。今では相互銀行法は廃止され法的にも存在していません。

信用金庫 地域や会員のための組織 預かった資金は地域の発展に生かされる

信用金庫法に基づく金融機関で、中小企業や個人を対象にした会員制度による協同組織です。営利を目的とせず、地域社会や会員のための利益を優先しています。

業務内容は、銀行同様預金・融資・為替業務が中心で一般の銀行と特に変わりはありません。なお営業地域は一定の地域に限定されており、預かった資金はその地域の発展に生かされている点は、営利が目的である銀行とは大きく違う点です。

会員の資格は、地区内に住所や居所、事業所がある個人などで、法人の場合は従業員300人以下か資本金9億円以下です。

信用金庫の代表機関は全国信用金庫協会で、中央金融機関は信金中央金庫です。

信用組合 さらに小さな企業が対象 預金受け入れも組合員から

中小企業等協同組合法に基づく金融機関で、中小企業や勤労者などの協同組合組織の相互扶助的な金融機関です。営利を目的とせず、組合員の出資によって成り立ち、相互扶助を目的としている協同組織型の金融機関です。預金・融資・為替の業務を行っています。

主な組合員は中小零細企業や生活者で、信用組合の営業エリアの組合員を対象とした「地域信用組合」、同じ事業を営む組合員を対象とした「業域信用組合」、同じ職場の組合員を対象とした「職域信用組合」という3種類の組合があります。

こちらの組合員資格は信金の会員資格に似ていますが、さらに規模が小さい法人を対象としています。法人の対象は、従業員300人以下または資本金3億円以下、卸売業は100人以下または1億円以下、小売業は50人または5,000万円、サービス業は100人または5,000万円と決められています。

信用組合の中央機関は全国信用組合中央協会で、中央金融機関は全国信用協同組合連合会です。

信組は、信金と同じ協同組織の金融機関です。しかし会員(組合員)資格などが異なるほか、預金の受け入れ範囲も異なります。信組は原則、会員が対象で会員以外の受け入れには制限があります。信金は制限がありません。

都銀・地銀・信金・信組の違いを紹介しました。大きな特徴として、それぞれ根拠法や取引先、地域に違いがあるようです。近隣の金融機関の支店や、地元・出身地の金融機関がどの形態にあたるのか、確認してみてはいかがでしょうか。 (提供: お金のキャンパス

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