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(画像=Webサイトより)

中学、高校とは異なり、一般的な小学校の授業内容は中学受験を視野に入れていない。その上、中学の入試問題は小学校の授業内容とかけ離れている部分もあるため、中学受験には塾通いが必要となる。そこで今回は実績がある大手5塾の特徴を公開されている情報などから検証してみる。

SAPIX(サピックス) 難関校への高い合格実績

大手5塾の中では、偏差値の高い難関校への合格実績がダントツの塾である。復習に重点を置いた濃密なカリキュラムで、宿題が多いのが特徴だ。

テキストが授業毎に冊子で配布されるので、その整理やスケジュール管理など親のサポートが不可欠となる。難関校への合格率は高い反面、基本をしっかり身につけ処理能力の高い子供でないとついていくのが難しいという一面がある。

カリキュラムは上位クラスに標準を合わせており、成績に応じて頻繁にクラス替えがある。上位にいる子供はモチベーションが上がり成績が向上する反面、それ以外の子供にはストレスになり、メンタルが弱いと負のスパイラルに陥る可能性がある。

徹底した上位成績者重視のため、上位クラスにいる子供は希望校合格の道が開かれるが、上位から外れてリカバリーが難しい場合は転塾を検討する必要があるだろう。このように子供の学力や性格によって2極化するのが、SAPIXの特徴といえる。

入学金3万2,400円(税込み)および2カ月分の授業料が必要。授業料は1年生は1万7280円、2年生は1万8360円、3年生2万520円、4年生は3万8880円、5年生は4万9680円、6年生は5万6700円だ(校舎による違いがある)。

四谷大塚 中学受験の老舗

中学受験では老舗の塾だが、ここ数年間は実績面でSAPIX・日能研に水をあけられている。2006年に東進ハイスクールを経営するナガセが株主になり、インターネットを利用してPCやタブレットで「予習ナビ」、「復習ナビ」といった映像授業が採用されている。

もともと四谷大塚はテスト会からスタートしており、伝統のある『週例テスト』や『合不合判定テスト』には定評があった。

小学1〜3年生の低学年では年3回のテスト、高学年になると5週に1回のテストで学力に応じてレベル別に4つのコースに振り分けられ、難関校から中下位校を目指すクラスに分けて指導する。

レベルごとに『週例テスト』があり、翌日にインターネットで採点済みの答案が返され解説授業が実施される。通常の復習テストは比較的易しい内容だが、『週例テスト』は平均点が50〜60点とかなり厳しくなっている。

サピックスとは逆に、四谷大塚では詳しく解説された『予習シリーズ』が主要教材で、科目によって副教材がある。6年生になると『四課のまとめ』で総合的な復習をし、志望校に合わせた丁寧な指導が行われる。

老舗ということもあってベテラン講師が多く、指導力の高い講師のもとで個々のペースで無理なく学力を伸ばす環境があるのが特徴だ。

入会金は2万1600円、受講料は1、2年生が1万800円、3年生が2万3544円。4年生は3万2400円、5年生が4万1040円、6年生が5万1840円(すべて4教科コース)。4年生以上は教材費が別途1.5万〜2万必要(半年)。

日能研 幅広く受け入れる規模最大級の塾

成績の良い子供だけではなく、幅広く受験生を受け入れてくれるのが特徴の塾である。日本最大級の規模を誇り、そこから得られる多くの情報を蓄積して活用する「DI学習支援システム」は日能研ならではの強みであり特徴だ。

このシステムは、まずDI採点システムでテストの答案用紙をスキャンしてデジタルイメージ化する。その答案を子供本人が客観的に自己評価し、作問、採点、授業に関わるスタッフ、そして親が情報を共有することで、きめ細かいサポートを可能にしている。

カリキュラムは成績上位者を基準にするのではなく、標準的で幅広い層に対応できるように分かりやすくなっている。しかし標準的なカリキュラムが故に、成績上位者にとってはやや単調に感じることがあるかもしれない。

規模の大きさによるデメリットとして、塾側のフォローが今ひとつ行き届かないということがある。親が講師と濃密なコミュニケーションを望むケースでは、若干の不満を感じる可能性がある。

入会金は予科が1万800円、本科が2万1600円。授業料は3年生予科が1万260円、4年生本科が1万5390円から、5年生本科が1万8144円から、6年生本科が2万1600円からなどとなっている(首都圏)。

早稲田アカデミー 密着型の指導が特徴

早稲田アカデミーの特徴は、何といっても熱血漢溢れる密着型の指導だろう。体育会系のノリで指導するイメージがあるが、より良い環境作りを目指す姿勢の現れでもある。

生徒や家庭と講師のコミュニケーションの一環として、月に1回は講師から家庭に電話連絡がある。そういった環境を熱苦しいと感じる子供には不向きだが、管理されないとできないタイプの子供をやる気にさせる効果は見込める。

四谷大塚の提携塾なので使用される教材は『予習シリーズ』で、月に1度のクラス編成には四谷大塚の組分けテストが使われている。これに加えて、独自の解説授業による指導が行われる。

6年生で「NN志望校別コース」が始まるが、このNNの意味は「なにがなんでも」で、熱血指導がウリである早稲田アカデミーの特徴を上手く言い表している。

1、2年生が1万4100円、3年生が1万6000円、4年生は1万6000円か2万5400円(コースによる)、5、6年生は課目ごとに受講料は細分化されている。入塾テストが2000円など。

栄光ゼミナール 大学受験まで視野に

中学受験だけではなく大学受験まで視野に入れ、個々の能力や事情を考慮した進路指導をしている。教室の雰囲気は和やかで、子供が伸び伸び学べる環境を整えているのが特徴といえる。

入塾の際はテストでクラス分けするのではなく、学力診断と面談で個々に合わせたコースを提案する点が他の塾とは異なる。きめ細かい指導をするために、ひとクラスの定員は8〜12人と少数に設定されている。

テストで間違えた問題があれば、その類題をPCで個別復習プリントとして出力するシステムがあり、個々の弱点に合わせて復習することができる。特徴的なのは、同じクラス内で個別授業を選択できるので、更に踏み込んで弱点の補強ができる点である。

入塾費はかからない。月謝(授業料)などはWebサイトでは明示しておらず問い合わせとなっている。

塾を選ぶ際、安易に志望校の合格実績で判断するのではなく、それぞれの特徴が子供の学力や性格に見合っているかを検証する必要がある。特に低学年の生徒は、塾の雰囲気や講師との相性に左右される。その点に配慮しないと成果は期待できないだろう。また紹介した費用は2016年11月時点で各塾のWebサイトで確認されたもので、変更される場合や割引、コースによる違いなどがあるので、興味がある場合は問い合わせしていただきたい。(ZUU online 編集部)