東京都内に住んでいる方であれば、マイカーを持っていないという人も多いかもしれない。公共交通機関が充実していることに加え、駐車場を借りるにも月々大きな金額を支払わなくてはならないため、マイカーの購入をためらう人もいるだろう。一方、日本には車がないと生活が難しい地域もたくさんある。

マイカーの購入は、人生の中でも大きな買い物のひとつである。大きな買い物をする場合に、一番気にしなくてはいけないのはローンの金利である。その選択を誤ると、何十万もの差が生じてしまう場合もある。つまり、マイカー購入のローンも資産運用のひとつと捉えられるかもしれない。

今回は、マイカーローンを上手に活用するべくローンの基礎から活用法までを解説していく。

目次

  1. マイカーローンとは
  2. 自動車ローンの計算方法
  3. シミュレーション
  4. カーローンで損する場合とは?
  5. 自動車ローン選びのポイント10
    1. 審査の通りやすさ
    2. 金利
    3. 利便性
    4. 固定金利か変動金利か
    5. 補償料の有無
    6. ローンに含まれる範囲
    7. 融資までの期間
    8. 繰り上げ返済が可能か
    9. サービスの充実さ
  6. 残価設定ローンのメリット
  7. 残価設定ローンのデメリット

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(写真=PIXTA)

マイカーローンとは

マイカーローンとは、自動車ディーラーや金融機関に購入代金を貸し付けてもらうことである。つまりお金を借りる行為であるため、当然利息を支払うことになる。毎月一定金額を返済していき、数年かけて返済をすることになる。年利数パーセントとはいえ、金額が大きいだけにその利息も大きな金額になる。

マイカーローンの最大のメリットは、一括で購入するために何年もお金を貯めて購入するよりも、その時車を手に入れることができるという点だろう。毎月積み立てをし、購入するとなると何年先になるかわからない。ローンを組むことで毎月支払いを行っていくため、貯金が苦手な人にもメリットは大きいと言える。車が急に必要になった場合にも、ローンは頼れる存在である。

ローンはそうした魅力がある一方で、貸付であるということから当然審査がある。まずはその審査に通らなければ、利用することはできない。また、車のローンが生活に支障をきたし、支払ができなくなってしまうケースもあるかもしれない。無理のない金額であるか、という点がポイントになる。

中には憧れの外車を購入したものの、結局車を売却してしまいローンだけ払い続けるという人もいる。車が好きな方で、必需品としてではなく趣味として所持したいという人もいるが、まずは自身の生活の中でなぜ車が必要なのか、その目的に合った車であるかを検討してほしい。

つまり、「どの車にするか」と同じくらい「どこでローンを組むか」「無理のない金額か」「明確な目的があるか」というのは重要なのである。

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自動車ローンの計算方法

カーローンの審査が通った場合、決められた期間毎月の支払いをすることになる。では自動車ローンを組んだ場合の利息と毎月の支払額は、どのように計算するのだろうか。まずは利息の計算から見ていこう。

元金 × 金利 × 借入期間 ÷ 2 = 利息金額

この式を見てわかるように、元金が少なく借入期間が短いほど利息は少なくなる。元金を減らすためには、頭金を多く設定すること、期間を短くするにはボーナス時の支払いを多くするなどの方法がある。金利の部分が年利の場合には、借入期間は年単位で計算する。

続いて、毎月の支払額はどうだろうか。先ほどの式で算出した利息金額を使用する。

元金 + 利息金額 ÷ 期間(月数) = 月々の支払金額

ボーナスでの支払をする場合には、その支払額も考慮する必要がある。この月々の支払金額は、固定費として月々支払うことになる。それに加え、保険や燃料費、メンテナンス費用などの費用が上乗せされることになるので、計画性を持って検討することが大切である。

シミュレーション

では、先ほどの計算式を基に、実際にローンの金利、頭金の有無によってどれくらいの差が生じるのかを検証してみよう。

例えば、200万円の車を、ローンを組んで購入する場合で考えてみよう。頭金なし、金利(利息)が年利5%、5年ローンの場合を想定する。

利息金額     200万 × 0.05 × 5 ÷ 2 = 25万
総額       200万 + 25万 = 225万
月々の支払い金額 225万 ÷ 60か月 = 3万7500円

では次に、頭金を50万円入れ、年利3%、5年ローンの場合を考えてみよう。

利息金額     150万 × 0.03 × 5 ÷ 2 = 11万2500円
総額       150万 + 11万2500円 = 161万2500円
月々の支払い金額 161万2500円 ÷ 60か月 = 2万6875円

ご覧いただいて分かるように、利息部分で13万7500円もの差が出てくる。頭金をもっと増やし、より金利の低いローンを組んだ場合には、さらにその差が広がっていく。同じ車を購入するのに、頭金なし、高金利ローンで支払いをする場合には「割高」な車を購入していることになるのだ。

ここでの計算式は、簡易的なものであるため、正確な金額については購入時にディーラー、金融機関等に確認をしてほしい。また、シミュレーションサイトも多く存在するので、目安として活用しよう。

カーローンで損する場合とは?

このように頭金の有無、利率によってかなりの金額の差が生じることがお分かりいただけただろう。

マイカーローンでは、頭金なしでもローンを申し込めるものも多い。しかし、頭金なしということはそれだけ元金が大きくなるということである。今すぐに必要な場合など、やむを得ない事情がある場合を除き、できる限り頭金を多くするというのは損しないための最低条件である。

また、金利についても数パーセントの違いと侮ってはいけない。どこでローンを組むかによってそのパーセンテージは大きく変わっている。元金が大きくなればなるほど、利息は大きくなる。同じ元金でも、金利が数パーセント違うだけでかなりの金額の差が出るのだ。一般的に車は、使用する年月が長くなるほど価値が下がるものである。結果として、車両価格が割高になってしまっては元も子もない。

損をしないためには、緊急性がない場合にはまず頭金を可能な限り貯める。そして、あらゆる金融機関のカーローンの金利を比較する。この2つを行うだけで、車にオプションを1つ、2つと追加できる可能性もある。

自動車ローン選びのポイント10

自動車ローンを選ぶ際には、「審査の通りやすさ」「金利」「利便性」「金融機関の性質」「固定金利か変動金利か」「保証料の有無」「含まれる範囲」「融資までの期間」「繰り上げ返済が可能か」「サービスの充実さ」の10個がポイントとなる。

審査の通りやすさ

審査の通りやすさの点においては、ディーラーローンが優位であると言われている。ディーラーの信販会社による審査のため、「可能な限り審査に通す」という傾向があるようだ。ただし、その分金利は高く設定されている場合が多い。収入が安定しており、金融機関での融資を受けられる場合には、そちらを優先したい。金融機関での融資が難しい場合にはじめてディーラーローンを検討、というのが理想的である。

金利

金利については、金融機関が優位に立っている。審査の通りやすさの裏返しになるが、審査が通るのであれば低金利の金融機関でローンを組む方が得である。また、都市銀行よりも地方銀行、店舗型よりネット銀行が一般的には低金利である。ディーラーは、自社でのローンをお勧めする可能性が高い。その金利も利益になるからである。とにかく徹底的に比較をすることと、販売員の過度なオススメに乗らないという姿勢も必要だろう。

利便性

利便性とは、ローンを組む際の来店の要不要や、手続きの煩雑さの部分である。ディーラーローンでは、そのまま購入手続きができ、手続き自体も簡単である点で利便性はあると言える。金融機関の場合には、営業時間に来店し書類を作成する必要がある場合もあるので、利便性の点では劣る。中には来店不要な金融機関もある。

固定金利か変動金利か

ローンの金利が固定金利なのか、変動金利なのかも重要なポイントである。固定金利は、契約時の金利が固定されているため、利息金額がわかりやすく返済計画が立てやすいというメリットがあるが、高めの金利が設定されている場合も多い。一方、変動金利は低めの金利が設定されているものの、将来金利が上昇するリスクがある。変動金利のローンを組む場合には、利率の見直し時期に気をくばる必要があるだろう。

補償料の有無

金融機関の中には、利息に加え「保証料」というものを支払う必要がある場合がある。年数%の保証料がかかる場合には、利息に加え考慮しなくてはならない。

ローンに含まれる範囲

通常であれば、車両費用のみがローンの対象となるが、オプションの購入費用や車検費用など車を購入した際に必要となる資金も対象としているローンもある。計画を立てた上で、検討したい。

融資までの期間

融資までの期間は、取り扱う金融機関、ディーラーによって異なるが、ディーラーの場合には30分から1時間程度で審査結果がわかるというところもある。一方、金融機関の場合には、その点でのスピードは劣るかもしれない。販売店への支払い期日に間に合うように、余裕を持って申し込みを行うことが必要だ。

繰り上げ返済が可能か

最初に設定した月の支払額よりも多く支払いたい、繰り上げ返済したいという場合にもローンによって可能かどうかが異なっている。少しでも期間を短くすることが、利息の節約につながるため可能な限り早めに返済をしたいところである。契約前に、その点も確認したい。

サービスの充実さ

最後に、サービスの充実さを考えるとディーラーローンに軍配があがるだろう。メンテナンスや車検費用をサービスしてくれる場合などもあるので、金融機関でローンを組んだ場合の金利と比較し、そちらのサービス金額が多いようであれば、そちらを選ぶというのも一つの手である。

残価設定ローンのメリット

最近では、残価設定ローンというものが主流になってきている。数年後に車を買い替えることを前提に、予め下取り分の金額を差し引き、残りの金額を返済していくというものである。

残価とは、下取り金額を差し引いた残りの金額である。それを数年かけて返済していくため、常に新車に乗っていたいという方や決まった期間だけ車が必要という方にはメリットのあるローンである。また、車検費用がかからないというものもあるので、選択肢の一つとしては覚えておきたい。

また、通常購入する場合に比べ、下取り分の金額が差し引かれているため、月々の返済額も抑えることも可能だ。金利も低めに設定されることが多いのも魅力の一つだ。月々の支払いをとにかく抑えたい人にとってはメリットが大きいだろう。

ローン返済期間が終了すると、その車両を返却するか、買い取るか、新車に乗り換えて新たにローンを組むかを選択することとなる。

残価設定ローンのデメリット

デメリットとしてはまず、残価設定ローンの場合、車の名義が信販会社になるということが挙げられる。つまり、自分のものであるようで自分のものでないという状態なのである。もちろん、そのままローンを支払い続け、完済すれば自身の所有物になる。そのため、自分の好きなようにカスタマイズすることが制限されてしまうことも考えられる。自身のこだわりを車で出したい場合には、購入するという選択になる。

また、金利は低く設定されているとはいえそれは残価に対してではなく、車両価格に対して利息がかかることも忘れてはならない。結果として、購入した場合と同程度の利息を支払っていたというケースもある。事故や故障の際の扱いについても、あらかじめ確認してほしい。

期間が終了し、車両を返却する選択をした場合にも注意が必要である。残価設定ローンでは走行距離の上限が設けられていることもあり、それを超えている場合には距離に応じて精算が必要になる場合もあるのだ。残価設定ローンを検討している方は、契約内容などを事前に確認し、判断してほしい。

ここまでカーローンについて解説してきたが、一番得をするのは現金で一括購入することであるのは言うまでもない。しかし、それができるのは一部の限られた人である。一括の購入が難しい場合でも、頭金を多く設定すること、金利が0.1%でも低いローンを組むことで、利息は抑えることができる。マイカーローンへの知識をつけ、充実した生活を送れるよう、うまく活用してほしい。

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