アーンスト・アンド・ヤング(EY)は11月に発表した最新レポートの中で、「中国FinTechが事実上、世界一の速度で加速している」との見解を示した。
中国大手企業による断続的な改革への挑戦と内地市場の強い需要に支えられ、過去1年間の中国FinTechへの投資総額は世界一の88億ドル(約1兆21億円)を記録。「ロンドン、シリコンバレー、ニューヨークに勝る国際的FinTech国に成長を遂げる」と期待されている。
FinTech受けいれ環境の整った中国 決済普及度はシンガポールの10倍
EYはシンガポールDBS銀行と共同作成したレポートの中で、中国FinTechの成長力を分析。すでに世界最大規模のeコマース市場を誇る中国では、企業側は勿論、「消費者がFinTechを容易に受けいれられる環境が整っている」としている。
中国の消費者は比較的「個人情報の共有」に柔軟なうえ、銀行へのアクセスに不満をいだく消費者や中小企業が後を絶たない。保険・プライベートFinTechセクターにとっては、中国で急激に増加した中流階級も絶好の顧客ターゲットとなる。
FinTechの主要顧客層とされるミレニアル世代(1980年代から2000年初頭代生まれ)の購買力は市場の45%に達しており、長年培われた信用やブランド名よりも利便性を重視する世代の特徴として、従来の銀行離れが目立つ。
中国において最も普及しているFinTechサービスは決済・送金で、全サービスの40%を占めている。ほかのアジア諸国の普及度と比較すると、インドの2倍、シンガポールの10倍、マレーシアなどの40倍という勢力だ。
昨年のオンライン決済総額(モバイル決済を含む)は、前年から2億5300万ドル(約288億1164万円)増の7億7400万ドル(約881億4312万円)。市場を独占しているのは相変わらずAlipayで、大都市部ではすでに現金やカードを上回る決済法となっている。国際FTコンフィデンシャル・リサーチが5月に実施したサーベイでも、回答者1000人中9割に「最も利用する決済法」として選ばれた。
EYアジア太平洋FinTech部門の責任者、ジェームズ・ロイド氏は、都市化が急速に進む一方で、無限に成長する可能性を秘めた中国特有の未開拓市場が、中国FinTechを国際レベルに引きあげると確信している。( FinTech online編集部 )
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